社会人になるまでの間に観れるアニメは今見ておこう、ということで連日頑張っております。
今回観たのはOVA作品「DETONATORオーガン」です。
配信とかがないんで結構視聴は大変かもしれません、小生も結構頑張りました。
あらすじ
ハイテク都市「CITY-5」に住む青年、真道トモルは大学卒業までのモラトリアムの最中、何がしたいのか分からず、PASFU(夢に干渉するVRゲームのようなもの)に熱中していた。
そんなある日、彼は夢の中で白い鎧の戦士からの接触を受ける、これは夢なのか、現実なのか、彼は悩む。
一方その頃、地球統合国家ユニファの紛争鎮圧部門、EDF(エディフィ)に所属する科学者、神崎未知は月から送信された謎の設計図を完成させるため、AI「アイザック」と万能工作機「ヴィルベルヴィント」とともに日夜奮闘を続けていた。
その間にも地球には幾多の惑星を放浪し、破滅を導いてきた戦闘種族「イバリューダー」の魔の手が忍びよってくる──
作品の魅力
90年代前半のOVAということで、セル画でのメカニックの表現が素晴らしいのは言うまでもないのですが、とりあえず魅力を語っていきましょう。
正直なところ「ロボットアニメ」というよりもハードコアな変身ヒーローもの、という感じなのですが、まぁいいでしょう。これを言い始めると「エヴァ」はロボットアニメか? みたいな宗教戦争の世界に突入してしまいますので……。
①「バリ」らしいケレン味溢れる戦闘シーン
「オーガン」の魅力と言ったらこれは絶対に外せません。大張正己氏と言えば、なアクションを交えた戦闘シーンはやはり迫力があります。
基本オーガンは単機なのであまり大規模で派手な戦闘にはなりません。ほぼタイマン、とことんタイマンです。
いやーもっとドンパチしてくれないとダメだよ、と小生も思いましたが、足りない大規模戦闘のシーンはEDFの機動兵器「エクテアーマー(どことなくメガゾーン23の「ガーランド」風味)」が行う市街戦や地球製ソリッドアーマーの最終防衛ラインでの戦闘で何となく満足できるのでその辺も大丈夫です。
②コンパクトにまとまったストーリー
同族殺し、エスパー、デザイナーベビー、太陽系外調査、時空のゆがみ、軍産体制、トモルと未知のロマンス、EDFのエースの俺っ娘など要素を詰め込み過ぎた感はありますが、一応物語の謎はすべて回収して終わるあたりはいい感じです。
「オーディアン」もそうですが、大張正己さんは詰め込み過ぎ、な感じもしなくもないような気がしますね(笑)ただオーディアンと違ってしっかり話を完結させてくれるのでその辺は安心です。
参照:詰め込み過ぎた「オーディアン」https://overwhelming-growth.com/post-1693
OVAで3巻分、時間にして2時間半ですが、見ごたえはたっぷりです。
90年代前半の「SF的想像力」をフルに詰め込んだ意欲作と言えるでしょう。
③実は豪華スタッフ
スパロボに参戦するまでドマイナーだったらしいこの作品ですが、スタッフがこれでもかというほど豪華です。
原作は「メガゾーン23」のメカデザイン、柿沼秀樹氏
「マクロス」のスタッフが再結集して制作されたOVA「メガゾーン23」ではメカニックデザインを務めた柿沼秀樹氏が原作、脚本を担当しています。
EDFのメカニックがなんとなく「ガーランド」っぽいのもうなづけますね。
監督は我らが大張正己氏
ケレン味溢れるかっこいいアクションシーンを描かせれば超一流の大張正己氏が監督、作画監督も一部兼任しているため、先述の通り「バリ」らしいアクションをお楽しみいただけます。
作画監督は「サクラ大戦」の松原秀典氏
「ああっ女神さまっ」や「サクラ大戦」での藤島康介氏との強力タッグでの活躍が光った松原秀典氏が作画監督を務めています。
キャラクターデザインは菊池通隆、のちの麻宮騎亜氏(代表作に「サイレントメビウス」「機動戦艦ナデシコ」など)
どっかで見覚えのあるキャラデザだと思ったらこの人でした、麻宮騎亜さんです。この時は名義が菊池通隆だったらしく後で知って納得です。
音楽があの「ヒラサワ」こと平沢進氏
この作品独特のある一種異質ともいえる雰囲気を醸し出しているのが「ヒラサワ」こと平沢進氏、イバリューダー侵略の不穏な感じはやはりこの人のセンスあってこそのものです。
平沢進氏のEDソングは必聴
作中の音楽だけでなく、EDも平沢進氏が担当、PART1,2,3と安定感あるヒラサワサウンドで締まるEDの入りもまた良いんですよこれが、ちなみにお気に入りはPART2の「山頂晴れて」です。
テッカマンのオマージュ?(真偽不明)
真偽のほどは不明ですがこの作品は「宇宙の騎士テッカマン」のオマージュだとも言われています。
随分古い作品なので観たことはありませんが、イメージ画を見ている限り、かなり似ている部分は多いかと思います。
両刃の槍(剣?)もそうですが、テッカマンの必殺技である「ボルテッカ」はオーガンの「PECキャノン」と酷似しています。わざわざ額から放つあたりはもはや確信犯的な感じですね(笑)。
実際この作品の後、テッカマンのリメイク版である「宇宙の騎士テッカマンブレード」が制作されました。
しかもメカニックデザインが大張正己氏のため、テッカマンブレードはもろ「オーガン」ですし、地球製のソルテッカマンがあるなど、今度は「オーガン」から引き継いだ要素もかなり多いです。
つまり
宇宙の騎士テッカマン→DETONATORオーガン→宇宙の騎士テッカマンブレード
と作品のエッセンスが受け継がれていくわけですね、真偽のほどは定かではありませんが。
総評:90年代SFアニメらしい構成の秀作
間違いなく90年代前半のSFアニメらしい想像力の詰め込まれた秀作だと言えます。スタッフの豪華さから完成度はかなり高いです。
この年代はTV放送された作品よりも正直なところOVAの方が出来がいい感じがしますね。小生の好きな「マクロスⅡ」もこの時期ですし、アニメ全体の「OVA文化」の息づいていた頃の雰囲気がヒシヒシと感じられます。
間違いなくお勧めできる作品です。
DETONATORオーガン 配信は現時点でなし
冒頭で配信が無くて観るのに苦労した、と書きましたが、基本的にはサブスクなどでも配信はありません。なんでや! と怒り心頭ですが仕方がないです。
レンタルビデオ店で探すのが安定かと……。