久しぶりに映画についての寸評です。
「SFマガジン」で見かけて以来、ずっと観たいと思っていた映画がイマイチだったので、書かざるを得ませんでした。
ニール・ブロムカンプ(第九地区とかエリジウムの監督)っぽさを禁じ得ない近未来SFアクション「囚われた国家」を観たよってお話です。
小生と映画「アルファヴィル」──AIディストピアの可能性──
あらすじ
人類が圧倒的な力を持つ地球外生命体の戦いに敗れ、彼らの支配を受けるようになってから9年、シカゴではレジスタンスが自由を取り戻す戦いを開始した。
支配を受け入れた人間たちは、レジスタンスの掃討に乗り出す。
絶望の未来を描いた近未来SFアクション──
感想~映画としてはそこそこいいけど、SF映画とすると赤点~
映画としてはそこそこです。
割とお気に入りの部類に入ります。
だけど「SF映画」として観ちゃうとどうしても赤点……
そんな映画です。
素材は悪くないんだけど、配分が悪くて、調理の結果が……。
どうしてもSFというよりいぶし銀なテロリズム・アクション、音楽は最高
まず、絵的な派手さに欠けます。
せっかくそそるキービジュアル(湖畔にガンダム的なサムシングが立ってるヤツ)があって、鎖骨のあたりに入れられた生体発信機とか吸盤付きのドローンとか、ガジェットもありがちなものばかりだけど、演出はいい感じなのに、そこで止まってしまう。
こういうこと言うとハリウッド製のドカーン!とかボカーン!みたいな映画だけ観てろや! と言われそうですが、あのビジュアルとあらすじの書き方だと、まさしくソレを期待してしまうわけです。
というわけで本作はシブいテロリズム・アクションの類に入ります。
しかしテロに走るまでの前置きが少々冗長、もちろん緊迫感があってワクワクはするけど、準備シーンが長すぎる。
テロメンバーが続々集結するところは結構いいんだけど、如何せん人数が多いから長いと感じざるを得ない。
それでもところどころに挿入されたガジェットのカッコよさや音楽の良さがあって独特の雰囲気はあるから、楽しめなくは無い、それで視聴を止める気にはならない。
せっかく世界観やガジェット、キービジュアルがいいのでもっと活かしてほしい
肩口に埋め込まれた生体発信機やら不気味に主人公を襲うドローンなど、ガジェットはかなりワクワクさせてくれる。
キービジュアルの湖畔にガンダム的なサムシングが立っている絵面なんかはあれだけでどんな話なんだろうとワクワクさせてくれた。
だが、そこまでなのが玉に瑕。
あれほど印象的なガンダム的なサムシングは一ミリも動かないし、満を持してテロ組織(レジスタンスですね)をつぶそうとして意気揚々とやってきた宇宙人は徒手空拳の紳士にボコられて死んでしまうのです。
圧倒的な力で支配……即休戦の申し出って話でしたよね……。
爆弾で普通に死んじゃうし、なんなら普通に外皮はがされて死んじゃうのはもっとダメでしょ、と思わんでもないのです。
この辺は正直呆れ顔でしか観れませんでした。
こうなっちゃうと、敵が架空の独裁主義国家でも変わりはないわけです。
そう言うのもあって日本のヒョーロンカの皆さんからは随分と高評価、お墨付きを頂いています。
でも「第九地区」「メッセージ」に続く社会派SFは言い過ぎです。
そのまま社会派映画でやっていてくれれば小生もこんなに文句言わなかったのに……。
まとめ:ニール・ブロムカンプ的なものを期待すると肩透かしを食らう
キービジュアルから「お、ニール・ブロムカンプみたいやん!」と飛びつくと確実に肩透かしを食らうので覚悟の上で観ましょう。
ストーリーの軸やテーマなど、ところどころでニールみを感じなくもないのだが、カタルシスを期待するとがっかりします。
大人しく「第9地区」とか「エリジウム」を観ましょう。
ネトフリだと「OATS STUDIO」とかもあるのでニール難民は大人しくそっちいきましょう。
Youtubeでも観れます。