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近藤史恵『サクリファイス』──珠玉のロードレース小説?──

  • 2019年6月1日
  • 2020年6月11日
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どうも、せんちゃんです。昨日髪を切って随分とサッパリしました。「就活があるのでなんか馬鹿っぽいすけど『できる男』みたいにしてください」と言ったところ、キッチリかっこよくしてもらえました。

髪の毛に気ィ使い始めたのなんて大学入ってからですが、高校くらいで気ィ使ってたら、も―ちょいなんか変わったかも知れないですね。いやいやいやいや、こういう「仮定法の現実」は虚しいだけだ、やめとこう。

そんなんはほっといて今日も小説の紹介、今回はロードレース小説「サクリファイス」を少々。

サクリファイス (新潮文庫)

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あらすじ

過去の苦い経験から「勝つこと」に魅力を感じなくなり、ただひたすらにエースのアシストとして生きるチーム・オッジ所属のプロロードレーサー、白石誓(しらいしちかう)同チームのエース石尾にはかつて自分の地位を脅かす若手を故意に落車させ『潰した』という黒い噂があった。それを承知で自らがエースとしてのしあがろうとする若手スプリンターの伊庭、彼ら若手に再三の忠告を行うチームメイトの赤城、篠崎、そんな中開催されたツール・ド・ジャポンにおいて白石はスペインのプロコンチネンタルチーム「サントス・カンタン」のスカウトの噂を耳にする。それぞれの思惑が絡んだまま、レースは「リエージュ・ルクセンブルク」へと進行していく……。

誰が本当の『サクリファイス(犠牲)』なのか……

感想、名作だが……

はっきり言っておこう、単純に名作であることは間違いない、よくロードバイクに乗ったこともなく、またロードレースを見たことのない人間がここまでの小説を書けるな、とこのミステリーの名手の実力には舌を巻かざるを得ない。

脚質をクライマーとスプリンターとオールラウンダーしか知らなかったようなのはやや残念(赤城はオールラウンダーというより「何をやっても中途半端」ならルーラーの方が相応しい)ヒルクライムの練習に十三峠でなく暗峠を選んだのもよく分からない(激坂に強くなりたいならまだしも、純粋な登坂能力を向上させるなら断然十三峠だと小生は思う)。

某有名ロードレース漫画の肥後もっこす「誰か平地を牽けるスプリンターはもうおらんのか=」

そういった細々とした「残念ポイント」を除けば非常に完成度が高い。それぞれのキャラクターはかなり魅力的、エースとしてのプライド塗れであるのをひた隠しにする石尾、アシストという犠牲的な行為に魅力を感じてやまない白石、態度は悪いが努力家でなんだかんだいい奴な伊庭、特に伊庭が白石を牽くシーンは胸アツだった。

ただ、わざわざ後半50ページだけミステリーの要素をぶち込む必要があったのかには疑問が残る。もとよりミステリー作家だから仕方ないし、確かに状況が二転三転して面白かったことには面白かったが、謎解きの進行が些か性急過ぎる、ロードレース小説ならではの「スピード感」と言われてしまったらそこまでだが……

あと、白石のトラウマを作った過去の彼女である香乃がクソ過ぎる、彼女のために陸上競技で白石が戦っている頃、白石の友人と乳繰り合い、終いには知らなかったのかはどうか知らないが、犯罪の片棒まで担ぐ、白石のお人好しさを一層アピールするにしても、そんなクソ女のことを何となく忘れられないような青春小説要素として盛り込んだにしても、確実に胸糞案件である。詳しくは読んで貰いたい。300ページ近い小説だが、こういう要素もあって引き込まれるため、すぐに読み終わってしまう、そういった意味ではやはり良くも悪くも「スピード感」だろうか?

あまりにも早く読み終わり過ぎて、小生の読書スケジュールが壊れたので少々怒ってもいる。寺山修司の『書を捨てよ、街に出よう』は一昨日読み終わってこの『サクリファイス』には2日かけるつもりだったが、すぐ終わってしまい土曜の朝電車だと言うのに読むものが無くて困った。

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