今シーズンはトタル・ディレクトエネルジーにバイクを供給するハイエンドカーボンブランド「ENVE」から発表された最新バイク「Fray」の海外インプレをまとめました。
Bikeradarのインプレ
https://www.bikeradar.com/reviews/bikes/road-bikes/enve-fray-first-ride-review
インプレの概要
ENVEの最新バイク「Fray」は、その汎用性とパフォーマンス指向の設計で、従来のバイクカテゴリーを曖昧にするトレンドを体現しています。
長所：
- 広いタイヤクリアランスのおかげで多用途
- ジオメトリとタイヤのおかげで快適性が高い
- レーシーなパフォーマンスは保持している
- 様々なコックピットオプションが可能
短所：
- カラーオプションが少ない
- 超プレミアム価格
- 専用のグラベルバイクほどはオフロードに対応していない
ドロップバーのバイクの分類については最近境界線がどんどん不明瞭になっていますが、パフォーマンス性を持ったエンデュランス/オールロードバイクである新しいENVE Frayは、その代表例と言えるでしょう。
確かに、ドロップバーロードの極端にはフルスロットルなロードレースバイクがあり、もう一方の極端にはモンスターグラベルバイクがあります。
しかし、最近その間に位置しているものを定義するのは難しくなってきています。
勿論、すべてのバイクを細かく細かく分類する必要はないとは思いますが、ENVEの最新の提供であるFrayはその中間領域のどこかに位置しています。
2022に発売されたENVEのレースバイクであるMeleeに似たパフォーマンス特性を持ちながら、フロントエンドが少し穏やかです
（編集者注：ちなみに、ENVE Meleeは2023年のレースバイク・オブ・ザ・イヤーに選ばれました）。
その豊富なタイヤクリアランスとジオメトリのマイルドでエンデュランス寄りの味付けにより、ENVE Frayは速く、快適に走りたい、そして時々未知の領域に冒険したいライダーに向けて提案されています。
エンデュランス？ それともオールロード？
エンデュランスロードのカテゴリは過去一年で大きく進化し、Giant Defy、Trek Domane、Specialized Roubaixなどの大手ブランドの最新バイクは、かつてオールロードバイクと呼ばれていたものの領域に踏み込んでいます。
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今週、BMCは新しいRoadmachineのクリアランスを40mmに増やしました。
Frayもクリアランスを大きくし、それに伴う多用途性を強調しています。
このバイクは、RoubaixやRoadmachineと同様に、最大40mmのタイヤを収容できることで、オールロードカテゴリに踏み込む可能性を示唆しています。
ENVEのラインナップでは、Meleeは35mmタイヤを収容できます（ENVEによると、27-32mmに最適化されています）、グラベルロードのMOGは巨大な50mmタイヤを収容できます。
Frayはグラベルバイクのようなクリアランスを持ちながらも、より大きなタイヤ容量をボーナス
機能として提供しつつ、パフォーマンスロードバイクとしての本質を保持しています。
カリフォルニアでのFrayの発表イベントでの私の両方のテストライドでは、35mmのスリックタイヤで走行しました。
新しいバイクで、馴染みのない道を2回走るだけでは完全なレビューには不十分です。
しかし、両方のライドは挑戦的であり、多様な路面状況を含んでいたため、Frayをよく理解するのに役立ちました。
バイクについての最初の印象を形成するために求めることができたすべてが含まれていました。
タイヤクリアランスは大きいけど、確かにENVEのDNAを感じる
自転車の反応性は非常に高く、わずかな入力に対しても即座に反応します。
これは長年ロードバイクに乗ってきた私にとっては楽しく、遊び心があると感じられますが、経験の浅いライダーは圧倒されるかもしれません。
大きなタイヤのために調整されたジオメトリーと、幅の広いタイヤは、卓越した快適性だけでなく、荒れた道路でも楽しめるほどの追加のトラクションを提供してくれます。
タイトなコーナーや荒れた道路でも、スピードを維持するのは容易でした。
時には濡れた道路で高速コーナーに飛び込むこともありましたが、挙動が予測可能な安定性があるため、報われる感じがしました。
オフロードでのインプレ
ENVEが開催した新製品発表会のルートの1つには、いくつかの未舗装の道が含まれていました。
それがグラベルライディングとは言えないまでも、完全に舗装された道からは程遠いものでした。
Frayは、土の上を登り降りしても一切の問題を示しませんでした。
たしかに未舗装路を容易に越えていくことができましたが、多くの未舗装道を走ることになるなら、私の最初の選択肢にはならないでしょう。
基本的にこの自転車と搭載されたコンポーネントは剛性が高く反応が良いです。
長い時間サドルに座っていても大丈夫ですが、荒れた道を一日中走るとなるとライダーに負担をかけるでしょう。
これはあくまでもライダーにちょっとしたグラベルというおまけの楽しみを提供するロードバイクであり、専用のグラベルバイクではありません。
ENVEはFrayについて「このバイクはMeleeにずっと近い」と述べています。「もし40mmタイヤをほとんど、または常に使用する予定のライダーなら、MOGを検討すべきです。」
私にとって、ENVE Frayは、主に舗装された道を走り、時々荒れた道に迂回することもあるが、数回のロードレースやグランフォンドイベントに参加する人に理想的なバイクのように思えます。
1xドライブトレインで最大40mmタイヤ、または2xビルドで最大38mmタイヤを使用できる能力は素晴らしいですが、実際の利点は、理想的でない条件下でタイヤに付着するかもしれない破片をクリアするのに十分な余裕を持つ35mmのタイヤくらいがスイートスポットです。
コックピット周りのオプション
ENVE Frayのもう1つの目立つ部分は、多くのコンポーネントとの互換性です。
完全に統合された専有パーツの時代にあって、ENVEはFrayを多種多様なハンドルバーとステムを使えるように設計しました。
確かに、ブランドは自社のコックピットの使用を望んでいますが、それが必須ではありません。
Frayはまた、多様なホイールの深さに適応しているので、深いプロファイルを選ぶか浅いものを選ぶかに関わらず、バイクはスタイルに合っているようです。
少し馬鹿げているかもしれませんが、私の最大の不満はENVEが提供するカラーが3つしかないことです—正直なところこれを「カラー」と言うには大げさだとも思います。
「Venom」カラーだけが実際に特徴を持っています。
他の2つ、「Ash」と「Salt」は素敵ですが、それほど感動はしません—これは私の意見です。
これがENVE流で、目立つカラーウェイが欲しいならカスタムオプションを選ぶ必要があります。
ENVEであることを考えると、これも間違いなく超プレミアムオプションで、Frayのシャーシはフレーム（公称重量900g）、フォーク、ヘッドセット、ステム、ハンドルバー、シートポストで$5,500 / £5,500 / €5,995 / AU$9,999/843,000円くらい で販売されています。
ENVE Fray の初期評価
ENVEのラインナップの中で、Melee レースバイクとMOG グラベルバイクの間に位置するFrayは、あまりレースに出場しないが、パフォーマンスロードバイクで速く走りたいと思っているライダーに魅力的なバイクです。
私自身もそのグループに属しています。できるだけ未知の道やルートを探検します。
ソロで走っているときもグループペースを押し上げているときも、ENVE Frayはバランスの取れたロードバイクで、より経験豊富なライダーに適しています。
多種多様なタイヤサイズに対応しながら、バランスの取れたパフォーマンス特性を維持することが、ENVE Frayを超プレミアムなエンデュランスロードバイクの分野で魅力的な新製品にしています。
まとめ：境界線を飛び越える一台
近年のロードバイクの進化の中で旧来のエアロ/ヒルクライム/エンデュランス/オールロード/グラベルといった枠組みは崩れつつあり、全てはオールラウンドな一台に帰結するのではないかと思われていますが、このFrayも例に漏れず境界線を飛び越え、というか差異を飲み込み、あらゆるカテゴリーを一台で包含するマシンとなっています。
日本ではグラベルカルチャーが成熟していないのでこのバイクが日本で流行るかと聞かれると疑問符はつきますが……。
