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ブランド初のグラベルロードFOCUS「ATLS6.8(2021モデル)」の海外インプレ

先日発表されたジャーマンブランド「FOCUS」初のグラベルロード「ATLS」のトップグレード「ATLS6.8」の海外インプレをお送りいたします。

https://www.bikeradar.com/reviews/bikes/gravel-bikes/focus-atlas-6-8-review/

これまで同社はエンデュランスロードシリーズである「パラレーン」のディスク仕様に太めのタイヤを履かせることで「オールロード」としての販売を行ってきましたが、ついにグラベル専用バイクが発売されるに至りました。

インプレの概要

ものすごくバーサタイルで多才なグラベルバイクでほとんど全てのライドが出来る。

さらに言えばブレグジット後の値上げにも対抗している。

ここイギリスでは、自転車は「ブレグジット」後「ユニコーン」のように急激に値段が上がるものだと思われており、すでに他の多くのブランドは値上げを宣言している。

しかし、このATLSはコストに見合ったパフォーマンスを発揮するようなレンジで販売されている。

いいところ

バーサタイルなフレームセットでマウントがいっぱいついている。

タイヤクリアランスが滅茶苦茶広い

ケーブルがほぼ完全内装

オフロードでもガンガン攻められて楽しい。

悪いところ

ロードBOOST仕様のせいでホイールをアップグレードする際にグラベル専用のものしか選べない。

トップチューブバッグがイカれたみたいにガタガタ鳴る

ラインナップの概要

ATLSのラインナップには4台の異なった完成車が含まれている。どれもアルミフレームとカーボンフォークは共通である。

そのうち3つは典型的なグラベルバイクとしてアッセンブルされている。ATLS6.9、6.8、6.7がそれに当たり、残りの6.7EQPはキャンプに向いたツーリングバイクとして、リアキャリアとパニアバッグ、それからフルカバーの泥除け、キックスタンドにダイナモライトが付属している。

これだけ見てもこのバイクがどれだけバーサタイルかが分かるだろう。

アッセンブルについて

 Felix Smith / Immediate Media

ATLS6.8はシマノのグラベルコンポーネント「GRX」のミドルグレードRX600(ロードの105相当)とセカンドグレードのRX800(ロードのアルテグラ相当)のミックスで組まれている。

ホイールはノヴァテックの25ハブとアレックスリムのチューブレスレディ対応のアルミリム「ブーンドックス」で組んであるほか、タイヤは45㎜のWTB「リドラー」が採用されている。

その他のコックピットのコンポーネントとシートポストに関してはFOCUSのオリジナルコンポーネントが採用されている。

サドルはタイヤと同じくWTB。

ライドインプレッション

ライド全体を通して、オフロードであっても非常に自信をもってバイクをコントロールすることができたと思う。

特に急峻な坂やラフな路面ではそうだった。

ラフでガタガタな道に突っ込んだ時でも、フロントエンドは静かで、すべてをコントロール下に置くために必要なのはわずかな当て効きくらいのものだった。

この安定性はいらいらするほど簡単に両手放しが出来るほどのものだった。

私はテストしたバイクの中でこれほど雑にグラベルを走れるものは無かったと思う。

 Felix Smith / Immediate Media

このバイクはコーナリングも素晴らしい。

オンロードでもオフロードでもこのバイクはしっかりとしていて、レスポンスがいいのもそうだが、とにかく安定しているからラインの変更も簡単だ。

これにはタイヤの良さも寄与しており、WTBの「リドラー」は本当に素晴らしいタイヤだと思う。

センターのブロックセクションから外周のアグレッシブなノブの部分に至るまでの遷移が完璧だ。

もちろん、舗装路でもタイヤの良さは際立っている。

すぐに慣れることができるし、バイクを傾けてもタイヤが腰砕けになったり、スリップしたりするのにおびえることなく、自信を持つことができる。

 Felix Smith / Immediate Media

このタイヤは決して粘着質のマッドコンディションではベストな選択だとはいい難い、しかし、ほとんどすべてのグラベルを走ることのできるタイヤであるということは間違いないだろう。

どうしてもドロドロのマッドコンディションの中を行くのであれば、もっとワイドなトレッド面のタイヤに切り替えることをお勧めしたい。

ジオメトリーについて 

このバイクのジオメトリーを見ると、ここまでのグラベルバイクに必要とされるものすべてが詰め込まれているのが分かる。

まずはヘッドアングルだ、現在流行の70.5°に全サイズで統一されている。

45㎜のWTBリドラータイヤと50㎜のオフセットを持つフォークと組み合わせると、トレイル値(キャスター)は74㎜になる。

65㎜~80㎜でトレイル値は「大きい」といえるから、このバイクのトレイル値はかなり大きい部類に入ることが分かるだろう。

キャニオンのグレイルなんかと比較してみると、あのバイクは40㎜のタイヤを装備して65.6㎜のトレイル値を持っている。

大きなトレイル値はライダーに予測可能な挙動と高速域での安定性をもたらす一方で、自分がバイクを操っている感覚は少し薄くなるかもしれない。

付け加えておくと、僕は「コントロールできない」と感じるバイクに乗ったことはないのだが、それでも高い安定性、ないしは反応性を誇るバイクは際立って感られるものだ。そしてこのATLSは高い安定性を誇るバイクであるといえる。

ヘッドアングルだけですべてを語ることは出来ないため、他の部分に移ろう。

リーチは僕のLサイズのテストバイクでは少々長めの410㎜で、短い70㎜のステムがアッセンブルしてある。

比較対象として、僕が最後にテストしたスペシャライズドのディヴァージュを挙げると、同じサイズでリーチは392㎜で90㎜のステムが装着されていた。

18㎜の違いはそれほど大きなものには思えないかもしれないが、これが存外大きな違いを生んでいる。

特に、険しい路面においてはそうだ、ライダーのポジションが後ろであれば、前のめりになることがなく、神経質になることがなく、安定したバイクとして扱える。

 Jack Luke / Immediate Media

もし読者の皆さんの趣向や好みとして「ドロップハンドルの自転車に70㎜のステムを付けるなんてとんでもない!」ということがあれば、ワンサイズ下げてステムを伸ばすことでよりトラディショナルなフィッティングになると思う。

だが、僕はそうする前にもう一度よく考えなおしてほしいと強く願う。

快適だけど、芯は通っている

Felix Smith / Immediate Media

非常にワイドな45㎜のタイヤを使っているのにも関わらず、ステアリングは若干だるい程度にとどまっている。

がっちりとしたフォークレッグは荷物を運ぶにも十分だし、もっと細いフォークに比べてしっかりしているから、ロードフィールはそれなりに明確に伝わってくる。少しリムハイトが高めのアルミホイールなのもこの少し「硬め」のフィーリングに繋がっている。

僕はテスト中、フロントタイヤの空気圧を下げて乗ってみたが、タイヤクリアランスが大きいため、それほど問題はなかった。

もしあなたが繊細な花のように硬いライドフィーリングを嫌うようであれば、もっとタイヤ幅を広げてもいいだろう。

FOCUS社は700cのホイールでタイヤクリアランスを45㎜まで、としているが45㎜のタイヤを装着した状態でも左右に15㎜ずつ隙間があった。

あるいはMTBライクに650bホイールをインストールしてみてもいいかもしれない。それでも十分なクリアランスが確保できるそうだ。

一方で、しっかりしたフロントフォークと長めのリーチのおかげでやはり安定感は高い、フルブレーキングでもジャックナイフになることはないだろう。

グラベルにもブースト規格の波が来ている。

FOCUS社はBOOST規格を採用している。

BOOST規格と言えば、MTBではすでにおなじみの規格だが、グラベルロードにもその流れが来ている。

現在のスルーアクスル規格の主流はフロント12×100㎜、リア12×142㎜の組み合わせだが、BOOST規格ではフロント110×15㎜、リア12×148㎜が採用される。

FOCUSはこの規格に少し手を加えてフロント12×110㎜にしたが、アダプターによって15×110㎜にも出来るようになっている。

ロードBOOST規格のホイール?

Felix Smith / Immediate Media

現時点でこの「ロードBOOST」に対応したホイールは存在していない。

そのため、この規格のホイールが欲しければMTBのホイールを流用するか、MTBのハブでロードのリムを使った手組ホイールを作るしかないのである。

だが、これは多くのライダーにとって、さほど大きな問題にはならないと考えている。

このバイクに75㎜のスーパーディープでエアロなホイールを付けようとする人はいないだろう。

MTBのホイール市場にはすでにより軽量でお買い得なオプションが沢山あるのだ。それに、そういったホイールの方がグラベルで求められるようなワイドなタイヤ幅に向いている。 

これは付け加えておかなければならないことだが、仮に700cのいかしたホイールまたは650bの素敵なホイールを持っているとしても、BOOST規格に対応させるにはWOLFTOOTHの互換パーツを使う必要とするなど少々手間がかかるわけなのだが……。

これはロードBOOST規格のホイールが出る、ということの前触れなのだろうか? そうなるとロードとMTBの境目がますます不明瞭になるわけだが、恐らくそうなのだろう。

完成車付属のホイールに関しても文句はない、アレックスリム製の32㎜のアルミリムはややハイト高めだが、しっかりと組んであることが分かる。

そのため、手荒に扱っても、すぐに壊れることはないと確信している(訳者注:シクロクロスなんかだと泥やら砂やらに埋もれないように多少ハイト高めのホイールを使う傾向があるので、それに近い感じなんじゃないかと思います)。

ツーリング&バイクパッキング派にも嬉しい

Felix Smith / Immediate Media

ケーブルはヘッドキャップから内装されるが、これは地味にうれしい。

バッグを付ける際にケーブルがあると邪魔で仕方ないのだが、これならスムーズにバッグを取り付けることが出来る。

フォークには片側につき3つのボルト箇所が存在し、3㎏の耐荷重があるから、十分に荷物を積載できる。

また、トラディショナルなキャリアマウントにも対応しているため。パニアバックでの携行も全然ありである。

さらにうれしいことに、ベントーボックス(トップチューブバッグ)を装着するダボもついている、これはツーリングバイクではマストだろう。

テストバイクにはおあつらえ向きのサイズのトップチューブバッグが付いていたが、コチラはオプションらしい。

しかし、内容物が固定用のボルトと当たってガタガタ音鳴りする可能性には注意してほしいそうだ。

底面に中敷きを入れればよさそうだが、これもずれるとイライラするかもしれない(笑)。

バッグやキャリア以外だと、マッドガードも装着可能である。FOCUSからはこれらすべてが販売されているが、気に入らなければ、別の製品を探すのに困ることもない。

もし、実用的にフルカスタムするのであれば、キックスタンドもおススメしたい。FOCUSからは専用のキックスタンド用のリアエンドも出ているため、そちらも活用できるだろう。

シマノのGRXの完成度については文句のつけようがないだろう。

素晴らしいワイドレシオで過積載なツーリングでもグイグイ行ける、もちろん舗装路での走りもピカイチだ。

ハンドルバーに関してはこのバイクの「ハイライト」ととって差し支えないだろう。

42㎝のハンドルが採用されているが、ドロップ部でのフレアが無駄に広すぎないし、バートップが扁平形状になっていて手を置けるところが多いのも魅力的だ。

一方で、WTBのサドルはそんなに好きじゃないね。ちょっと幅が狭いし、柔らかすぎるかな、あくまでも僕の好みではあるんだけど(笑)

試しにパッド付きのビブなしで何回かライドしてみたけど、まぁ、やっぱりサドルは柔らかい方がいいかも。

総評:コスパも良いし、バーサタイルに使える

総評だが、他のメジャーブランドのバイクと比べた時に、このバイクはコスパがいいのは勿論のことだが、もっといろいろなことが出来るのが魅力的だね。

タイヤクリアランスが大きいのもそうだけど、キャリアやマッドガードのマウントも多くてとにかく何でもできる印象。

ジオメトリーもいいから、考えられる大抵のことはこのバイクで出来てしまう。

トレイルを行くのもいいし、舗装路を行くのもいい、どちらにしろ、このバイクに乗るのはとっても楽しいだろう。

グラベルロードに使いたい13速コンポーネント、カンパニョーロEkar

https://overwhelming-growth.com/post-2524

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