先週くらいにMTBコンポのミドルグレードであるGX EAGLEのAXS仕様を発表した米SRAM社から、またも新型が登場!
SRAMの新型ワイヤレスMTBコンポーネントGX EAGLE AXSの海外インプレ
というわけで今回はSRAMの新型コンポRival ETAP AXSの海外インプレです。
シマノでいうところの「105」が電動化したということで、期待が高まるところです。
BikeRaderのインプレ
https://www.bikeradar.com/reviews/components/groupsets/groupset-road/sram-rival-etap-axs-review/
インプレの概要
FORCEやREDといった上位グレードのパフォーマンスを「かけら」くらいの値段で実現したコンポーネント
いいところ:ワイヤレスでシンプル、変速が正確で見た目がかっこいい
悪いところ:サテライトシフターが追加できない
僕が初めてこの最新で最もお手頃なコンポーネントについて聞いたとき、僕はSRAM社の心配をしなくてはならなくなったことを認めよう。
何と言ったって、ワイヤレスのAXSシリーズを、サードグレードのRivalまでトリクルダウンしてきたんだよ⁉ それもかなりお手頃な価格で!
ありがたいことに、SRAMの人たちは、皆きちんとその辺のことは考えていて、僕が特に心配する必要はなかった。
きちんと取捨選択すべきことを決めていて、限られた範囲の中で最高のコスパを対句有してくれていたんだ。
特にAXSシステムそのものに変更があったわけじゃない、だからもちろん同じブレインを持っていて、シフトに関する仕組みも同じだ。
そしてこれは最も大事なことだが、なんとシフトに使われるモーターまで全く同じなんだ。
いうまでもなく、AXSのアプリと接続するためのアンテナとかも一緒だよ。
だから、このコンポーネントに対する感想は上位のコンポーネントと一緒だ。セカンドグレードのFORCE、それからハイエンドのREDとも同じように感じられる。
ローンチの記事も僕が書いたけど、一応概要をさっと載せておこう。
新型は他と同じく12sで、ワンバイ、またはツーバイのオプションがある。
それから、グラベル用のもっとワイドなレンジも用意されている。
FORCE ETAPよりも300gほど重く、ほかのAXSシリーズのコンポーネントと同じようにAXSシリーズなら、どのコンポとも混ぜて使える(無論MTB用も含めてだ)
そうだ、アップグレードオプションにパワーメーターもあるんだけど、僕はまだ試してない。
新しいコンポーネント、同じAXSシステム
僕は長年のSRAMワイヤレスコンポユーザーだ、オリジナルの11sETAPは僕のTCRとZ-ZEROで使っている(両方ともリムブレーキだけど)
それから、僕がロングタームテストで乗っているバイクにもFORCE ETAP AXSがついていて、もう2年は乗っている。
このグレードといえば、シマノのアルテグラDi2のライバルだよね。
まず、それから概してにもなってしまうんだが、今回のRival AXSはほとんど上位グレードのコンポーネント(FORCEはもちろん、ハイエンドのREDについてもだ)と変わりがないと言ってもよい。
一度走り出してしまえば、ほとんど違いは感じられない。
つまり、これを買えばほとんど同じシフトが得られる(右のシフトでギアを上げ、左のシフトでギアを下げ、同時に押せばフロントが変速するのだ)
もし君が機械式のSRAMやシマノのコンポーネントから乗り換えるのであれば、機械式のシフトを模倣するのも簡単だ。
システムに慣熟する時間は必要ない、このコンポは実に柔軟なんだ。
素晴らしい変速だ! それもう一度!
Rivalのリアのシフトに関してはFORCEやシマノのアルテグラDi2と同じくらい正確で素早い。
もちろんそれらよりRivalが安いというのは言うまでもない。
フロント変速に関してはレバーの面で慣れが必要かもしれない、意外に左右同時押しは難しいんだ。
しかし、ライダーが言っているように、フロントの変速が遅いとは思わない。
単純に慣れの問題だと思う。
機械式と比べてAXSは変速している感覚が少ない(当然のことだが)機械式であれば、レバーを動かしてからすぐにディレーラーが動いている感覚があるが、AXSだとその感覚がないうえに、すぐに変速するのでタイミングはわからない。
みんなが期待していた通り、このコンポーネントはAXSシリーズの中で最もお値打ちなコンポになった。
しかし、ディレイラーに使われている素材によってパフォーマンスが変わるなんてことはないし、少なくとも僕の知っている限りのネガは重いことくらいだ、それだって大した問題じゃない。
リアディレーラーはクラッチ機構を搭載していて、チェーンあばれを抑制してくれている。
実際の使用では上位コンポだけの搭載である流体ダンパーのOrbitとほとんど変わらずに機能してくれる。
ラフな路面やトレイルでは、クラッチがしっかりとチェーンを噛んだままにしてくれているのでチェーン落ちの心配も、チェーン落ちによっておこる破損も気にしなくてよくなったんだ。
リアのカセットはピンで接合してあるタイプで、これが値段を下げるのに一躍買っている。
シフト性能はカセットの上から下まで良好で、同時にシフトの動作はとっても静かだ。SRAMはしっかり上位グレードと同じエラストマーのダンパーをコグに搭載してくれているんだ。
それから、ハイポリッシュのクロームフィニッシュは僕のお気に入りだ!(僕の持っているFORCEの黒一色のカセットはマジでダサい、最近ようやくポリッシュ仕上げにしたみたいだけど)
AXSのアプリ
AXSのアプリといえば、このシリーズの外せない部分で、このRivalにおいても同様だ。
グループセットとスマホを無料アプリを通してペアリングすれば、いろいろと設定ができる。
例えば、多段変速は何秒でどこまで、とか、コンペンゼーションモードの設定で、フロントのシフトに合わせて、リアのシフトを最適なところに合わせてくれるんだ、これでかなり走りはスムースになる。
最後に、古オートマチックでのフロントシフトも可能だ。
リアを上げる、もしくは下げることによって、フロントも合わせて最適なギアレシオに変更される。
折角12もギアがあるんだからね。
AXSのアプリはあまり言及を受けることはないけど、本当に素晴らしいんだ。
まず、追加のコストがかからないのがいい、シマノだったらBluetooth用のユニットにお金がかかる。
AXSアプリはライドの分析もきちんと行ってくれる。
このアプリはライドのデータを普通のやつなら大体は記録してくれている。
スピード、距離、移動時間、それから心拍系とペアリングしてあれば心拍数も、それからGPSのトラッキングは自動でSTRAVAにアップロードしておいてくれる。
それから、君が一体ライドの間に何回シフトを変えたのかが気になるのであれば、それも記録しておいてくれるんだ。
キロ当たり何回シフトしたか、どのギアを使っていたのか、それぞれのギアを何分使っていたのかまで、記録してくれる。
それから、パワーメーターとかクォークのタイヤウィズ(ブルートゥース連動のデバイス)なんかとも連動して、タイヤの空気圧まで記録が取れる。
これらすべてのデータは一部の欲しがる人にとってはめちゃくちゃ有益な情報だと思うが、AXSアプリはこのすべてを実現してくれるわけなんだ。
ハードウェアのメーカーにとって、ソフトウェアを作るのは非常に大変なことだ。それでもSRAMはこれだけのクオリティのものを作り上げてきたことは称賛に値するし、バイクのテクノロジーにおいても重要なメルクマールといえるだろう。
まとめ:これでもAXSのボトムグレード
Rival AXSはREDとFORCEに肉薄するこれだけの機能を備えていながらも、最も安い無線電動コンポなんだ。
AXSを使いこなすのは簡単で、バッテリーの持ちに関してもDi2 の公称時間よりは短いものの、十分なうえ、交換も簡単だ。
充電も挿すだけでいいし、フルチャージまでは0からでも40分で行ける。
それに、今や毎日何かしらのデバイスを充電するのが当たり前の生活を送っているから、なんにせよ、大した問題はない。
恒常的に正確さが保たれる、電動シフトは機械式シフトに比べて魅力的だし、ケーブルの長さや柔軟性、経年劣化に悩まされることもない。
もし君が冷や汗を垂らしながら機械式コンポーネントの調整にいそしんでいたり、ケーブルの内装に悩まされているのであれば、悪いことは言わない。
すぐに無線電動に切り替えるべきだ。
じゃあRivalAXSの登場で機械式シフトの時代は終わるのかって? そんなことはない、シマノのデュラエースも、カンパニョーロのスーパーレコードも機械式をやめるとは言ってないんだもの。
でも、ミドルグレードまで最新鋭のAXSシステムをトリクルダウンしてきたことは、確かな影響があるだろう。
これが商業的に成功して、広く流通したとしたら、ほかの二社はこれにどう対応するだろうか?
確かに安くなったとはいえ、それでも流通価格で20万円近い出費になるから、RivalAXSが巨額の機材投資になることは間違いない、だからと言って、もっとお買い得なコンポーネントがあるわけではない、価格改定があったとはいえ、FORCEになるとだいぶ高い。
Rivalの価格に関しては誰も何が起こるかはわからない、しかし、数年の間に、ほかのメーカーも似たような戦略をとってきたとしたらどうなるだろうか……その時にはミッドレンジのバイクからシフトケーブルがなくなり、ブレーキケーブルはオイルホースにとってかわられることになるだろう……。
訳者まとめ:とんでもないシマノ/カンパキラー
こないだのGX EAGLE AXSの時も「来たな」という感じでしたが、今回はその時よりももっとヤバみです。
まさかミドルグレードにまでワイヤレスグループセットを放り込んでくるとは……ただ、シマノの場合と違って、コンポ変えるならAXSにそうとっかえしないと使えないのはやや不便なので、その辺のドミナント具合をどう考えるかによっては違いが出てきそう……
おまけ:実測重量
↑こちらより
シフター&ブレーキキャリパー 左411g、右390g(ケーブル込み)
ケーブル長にもよるけどこんな感じです。
リアディレイラー(バッテリー抜き) 342g
36tまで行ける上にワンバイ、ツーバイどちらも行けちゃうリアディレイラーはこんなもん。
フロントディレイラー(バッテリー抜き) 151g
SRAMの謎パーツ込みなのであともーちょいだけ軽くなりそう
前後バッテリー 49g
バッテリーは軽い。
クランクセット(パワーメーター込み、175㎜) フルセットで863g
やや重めかと思いきや、しっかり一番クランクが長くて重いやつでした。パワーめたー込みでこれならどうなんやろか……
カセット(10-36t、12s) 340g
かなりのワイドレンジのカセットはこんなもん
チェーン(未カット)272g
おなじみフラットトップのチェーンは未カットでこんなもん、意外と軽い。
スモールパーツ
160㎜のディスクローターとアダプター、ロックリングなどはこんなもんです。
全体的にはちょい重め? 値段との兼ね合いでどこまで許せるか
全体的にはやはり素材の変更が大きいのか、上位のグレードのものよりは重めです。さぁこれをシマノと比べた時に許せるか許せないかで売れ行きが決まってきそうな感じです。
個人的にはグラベル、ツーリング系バイクとの組み合わせがアツいかな、と思っています。