FACTOR(ファクター)「OSTRO(オストロ)」の海外インプレ

FACTOR(ファクター)「OSTRO(オストロ)」の海外インプレ

先ごろ発表され、ツールで大活躍かと思いきやそうでもなかったバイク(イスラエル・スタートアップネイションもっと頑張れ!)ファクターの「オストロ」の海外インプレが上がってきてるのでシコシコ翻訳したいと思います。

元ネタ:https://cyclingtips.com/2020/09/factor-ostro-vam-the-exclusive-first-ride-review/

概要がまだの方はこちらへ↓

https://overwhelming-growth.com/post-2260

とりあえずの紹介

テストしたのはマスプロダクション前の試作モデル。

これは何だ?:パリ~ルーベでも行けるエアロオールラウンダー

カギとなる特徴は?:32㎜以上のタイヤが履ける、ケーブル完全内装、丁度良くエアロでシャープなチューブ形状、フレームが軽い

重量は?:54サイズ、塗装済みでフレームは875g、フォークが420g、ハンドルバー/ステムが305g、ペダルなしの完成車実測値で6.88㎏

いいところ:どこでもよく走る、タイヤクリアランスが大きい、驚くほど軽い、振動を吸収するからガタガタいわない、BBがねじ式、各チューブの形状と構造が素晴らしい、ハンドルを切ってもカーボンフォークがキチンと保護される、グラフィックのパターン

悪いところ:試作モデルに関してはねじれ剛性が低い、フロントのケーブルルーティングに気を遣わないといけない、一体型ハンドルが旧型の焼き直し。

実走インプレ

OK、それじゃあこのバイクがどのくらい走るのかって?

コレに関してはファクター社の言ってることほぼそのまんまって感じかな。

エアロロードに感じられないエアロロード

ただ、これから細かいことを言う前に、覚えておいてほしいことがある、実走の時間が限られていたこと、それから僕が乗ったのは量産前のテストモデルでマスプロモデルじゃないってこともね!

でも、ただローンチに赴いただけじゃなくて、ちゃんと家に持って帰って慣れ親しんだ地元の道で乗ってるから、その辺は割としっかりしてるよ。

まず驚いたのは「軽い!」ってこと

一番はっきりしてるのは、このバイクの「軽さ」だ。特にバイクの上半分が軽い、おかげでパワーをかけると鞭で打たれたかのように反応する。ペースがいきなり変わるような場面で重宝したよ。

この感覚がハイトの低い「BlackincーThirty」ホイールに起因するものであるのも勿論だ。エアロロードにはもったいないハイトの低さだが、僕がテストした時点でピカピカの新作「Blackinc-Forty-Five」はまだレビューできる状態じゃなかった。

バランスがとれていて快適

このバイクは前後でバランスがしっかりと取れている、舗装の汚い道路での刺すような刺激はキチンとハンドルがいなしてくれるし、ドロップドステーが効いているから、路面の角をきちんと落としたように感じられる。これは言及に値すると思うんだが、オストロのD 型シートポストは、ターマックのやつとか、bmcのやつとかに比べて、意外と硬い。

もちろん、オストロはレースバイクだから、ホイールが何を踏んだとか、何が跳ねただとかは伝わってくるようになっている。でも、舗装が死んでいる道でも振動は麻痺させられて伝わってくるし、目に見えて道が悪いところでも不快な衝撃を除去してくれている。これは素晴らしいと言わざるを得ない。

↓比較対象のターマックSL7のインプレはコチラ

https://overwhelming-growth.com/post-2076

剛性について

興味深いのは、このバイクが数値的には「O2vam」よりも「硬い」とされていることだ、あの軽量クライミングバイクに乗ったのは9か月ほど前の事だったが、マスプロ前のテストモデルのオストロに乗っていて、ねじれ剛性的にも縦剛性的にも、やはり軟らかいと感じるのだ。

実際オストロは硬い、というか硬くなければならないはずだ。マッシブなボトムブラケットの集合部、ものすごくワイドスタンスのフォーク含めて、でもやはりヘッドチューブやシートチューブの辺りに「しなり」を感じてしまう。

この感覚がコーナリングに悪影響を及ぼしたりはしていない、しかし、オールアウトするまでスプリントするような場面では、やはり高い剛性を誇るバイク(同社のONEなんかはいい例だ)と比べて、物足りなさを感じてしまう。

というわけで、僕はFACTORの開発チームにこれを伝えた、すると、供給チームであるイスラエル・スタートアップネイションからも同様のフィードバックがあったことを教えてくれた。

コレを受けて、製品版ではもっと硬くなったらしい。僕が試したのは54サイズだが、56、58とサイズが上がるごとに、剛性に関しても調整を加えた、とのことだ。これによってどのくらいフレームの重量が増えたのかが気になるところだね。

一方で、僕はO2に乗った時、洗濯板のような路面(訳者注:下図参照のこと)

では、少しナーバスにならざるを得なかった。

これは縦剛性が高すぎたせいであると思う。一方で、今回同じ区間に行ったときに、オストロはもっとコントロール出来ている感覚があった(タイヤのモデルが違うのはそうだけど、幅も空気圧も前回と同じにしてある)何度も申し訳ないが、O2に乗ったのは9か月前だ、それでも、やはりここには違いを感じざるを得ない。僕の感覚には自信がある。

だが、剛性を上げたことによって、快適性とトラクションに幾分かの影響が出るのではないかという思いもある。製品版に乗っていないからはっきりしたことは言えないけど……。

操舵性、というかハンドリングについて

ハンドリング特性はO2vamによく似ている。ジオメトリーが似ているのだから当たり前だが……まさしくレースバイク、と言った感じで、少しの入力に対してもクイックに反応してくれる。トレイル量などに関しては良く知られていて伝統的ともいえる数字のため、驚きは感じない。

それから、覚えていてほしいのはこのバイクがレーシングバイクらしいタイヤ幅(実測で26㎜くらい)でのハンドリングとエアロダイナミクスに最適化されていることだ。それから、ボトムブラケットのハンガー下がりが70㎜であり、これは最近のレーシングバイクでは当たり前の数字だ。

しかし、オストロに関しては太いタイヤ(タイヤ周長が長くなる)を前提としているため、もしタイヤ幅を最大まで活用した場合、比較的車高が高くなってしまう。これはFACTORのバイクに限ったことではない、大きなタイヤクリアランスを持った最近のバイク全般に言えることである。

それから、リーチが長すぎるのも欠点の一つだろう、もしアップライトなポジションを求めるのであれば、専用のトールヘッドキャップがあるため、そちらを使う必要がある。対処法がこれだけなのも問題だと思うのだが……

コンタクトポイント(ハンドルなど)について

バイクのコンタクトポイントについては何の文句もない、Blackincのハンドルのドロップもリーチも素晴らしく、ブラケット部でもドロップ部でも快適なことこの上ない、専用のアルミ製コンピュータマウントが付属するのもグッド。

なんだけど、ちょっとアレだなって部分がある、それは「ハンドルが旧作の焼き直しに過ぎない」という点、前作のハンドルはケーブルをハンドルに沿わせる溝があったんだけど、それがそのままになっている、完全内装用に一から作るべきだったとは思うね、幾分か重量も削減できただろう。

ただ、実は溝に指を入れて掴むことが出来る点を、僕は気に入っている

ハンドル周りについていうのであれば、ハンドルを45°まで切ると、少しぶつかったような音がするのも少し気になった。ちょっとした検査をした結果、この音がリアブレーキのケーブルが内部でフレームの角に当たっている音だということが分かったため、よくあるカスタマイズとしてのポリウレタンチューブでケーブルを覆うアレで対処できる。まぁ、ハンドル単体で動かすと音がするだけで、ライド中はそんなに気にならなかったんだけどね、正直。

コスパは正直どうなんでしょう

コストパフォーマンスの話は、僕があまりしたくない話題の一つなんだけど……僕が買えないものだからと言ってコスパが悪いわけじゃないし、僕の100ドルしたアーレンキーだって、他の人からしたら価値が無いかも知れないし……

まぁいい、FACTORは小さな市場の中で、大変上手に商売を展開していると思う。自社で売ることが出来るところは自社で販売してコストを抑えている。

フレームセットなんかはステム、ハンドル、シートポストにセラミックスピードのBBとヘッドセットまでついているし、完成車はコンポのみならず、ステム長やハンドル幅までアッセンブルを選ぶことが出来る。

確かに高いかも知れないが、少なくともスペシャやトレック、それから他の「伝統的」なヨーロピアンブランドに比べれば、このプライスタグは競争力があると言って差し支えない。

デザインが素晴らしい

最後にもう一つ、この人目を惹く「フリッカー」デザインはものすごく気に入ったよ。手作業でのライングラフィックの上に最小限のクリアコートが吹いてある。このデザインは誰にだって称賛を受けることだろう、すれ違ったローディーもそうだし、写真を撮っている最中のワンちゃんはニオイだって嗅ぎに来るかもしれない。例え自転車乗りでなくとも、立ち止まって眺めたくなること間違いなしだ。

この「フリッカー」以外にも「ソーホーミックス」と「シシリアンピーチ」の二色が存在する、どちらも現物を見たけど、特にシシリアンピーチは好みのカラーだった。

総評:モダンオールラウンダー

このバイクは疑いなく「モダンオールラウンダー」であると言える。このタイプは何もオストロだけではない、今年は多くのバイクがモデルチェンジを行い、クライミングバイクでありながら、或いはクライミングバイクのような軽量性でありながら、空力性能に特化したフルモデルチェンジが行われた。

そして、多くの点でオストロと競合し、ライバルとなり得るのはこういったバイクたちだ。風洞実験の結果こそ入手可能ではないが、スピードに乗った時の速さではオストロがモダンオールラウンダーの中では一番だった。もちろん他のライバルたちにはジオメトリーで一日の長があり、スプリントに耐えうる剛性があるのだが……。

一方で、多くのブランドの「エアロロード」も軽量化を果たしつつある。しかし、ここでもオストロは競合できる。オストロの方が軽く、横風の中でも安定しているからだ。

またサーヴェロの「カレドニア5」のようなモダンエンデュランスエアロロードとも比較が出来るだろう。あのバイクはより多くのローディー向きだ。フェンダーの取り付けが可能で、高いスタックを持っている。オストロはやはりレーサー向けに作られているから、クイックなハンドリング、低いスタックとシステムウェイトの軽さが特徴になる。

↓コチラも参照、カレドニアの方が大分重いです。

https://overwhelming-growth.com/post-2589

概して、僕は純然たる「エアロロード」よりも軽量なオールラウンダーを好むが、オストロはうまい具合に「エアロロード」の領域に食い込んでいる。このバイクとは本当にうまく付き合えるだろうと思う。

ロードバイクの未来

こういった「オストロ」のようなバイクはまさに「レーシングロードバイクの未来」であると思うし、いずれ辿り着くのはここだとも考えている。

何でもできて、どのような状況でもトランプの「ジャック」として手札を切ることの出来る(絵札の中では最弱。概して最強のカードではない)ようなレースマシンで、常にもっと特化した性能を持ったバイクの95%の性能を誇るようなオールラウンドバイクだ。

1つ大きな疑問なのは、これだけの優れたバイクを作ってしまって、FACTOR社は他のバイクをどう売るのだろうか? O2もそうだけど。特にこの調子じゃ今まで作った「ONE」とかどうやって売るんだって感じだよ。

おまけ:Blackinc Forty-Fiveについて

FACTORの姉妹ブランドBlackincからはこのオストロのためにこれまでのBlack-Fiftyと入れ替える形でミッドハイトのホイールForty-Fiveが発表されている。

ディスクブレーキ専用でチューブレスレディ対応、リム内幅は20.7㎜(外幅は奇才が無かった)25-28cのタイヤに最適化されたNACA0018形状をしている。この形状は一般的な風向であるヨー角10°までの風の中で驚くほど効果的に機能し、安定したライドを提供してくれる。

自社製のハブにセラミックスピードのベアリング、DTスイスのラチェットシステム(Expではない)を搭載しており、1400g前後の重量になる。値段は24万7000円くらい。

訳者注:値段に関しては日本の代理店である「トライスポーツ」さんの頑張りにかかってます。日本の代理店はぼったくり過ぎなので……トライスポーツさんは結構頑張ってるなぁと内外価格差を見て思います。

訳者まとめ:ターマックキラーなるか、新鋭ブランドの挑戦

「エアロなだけでは生き残れない(仮面ライダー龍騎風)」と言われ始めて久しいですが、現在のUCI既定の中でのバイクビルドはエンジニアリング的な臨界点に到達しつつあるような気がしますね。

この臨界点の中での各ブランドの「味付け」がどう楽しめるのか、というところに期待がかかります、先ごろUCI既定に少し変更が加わるかもしれない、というアナウンスがありましたが……。

現時点で最高のオールラウンダーとされる「ターマックSL7」に強力なライバル登場! という感じで締めさせてもらいましょう。

一応フレームセットは楽天で買えます、バラ完とかいかが?

完全内装のエアロディスクロードをバラ完した話はこちらから

https://overwhelming-growth.com/post-2907

ライバルのターマックのインプレはこちら

https://overwhelming-growth.com/post-2124