やれカンパが13速だ、SRAMはApexをAXS化だ、シマノがようやく12速電動だのなんだのと喧々諤々のコンポーネント戦争が続いておりますが、ここでシマノがこのゲーム自体を変えかねない特許を出願しました。
カンパニョーロ13速グラベルコンポーネント「Ekar」の海外インプレ&スペック(重量)
SRAMがAPEX eTap AXSを準備中⁉ 電動コンポーネントがさらにリーズナブルに手に入る未来がやってくる⁉
新しい特許は、地上高を上げ、ワイドレシオの互換性を向上させたリアメカの開発を示唆しています。
https://www.cyclingnews.com/news/is-shimano-about-to-reinvent-the-rear-derailleur/
USPTO(アメリカ合衆国特許商標庁)に持ち込まれた図面
リアディレイラーには、長年にわたって数え切れないほどの革新的な技術が導入されてきました。
増え続けるスプロケットへの対応、インデックス変速の導入、STIレバー、クラッチ、電子機器の追加、そして近年のワイヤレス化など、数え上げればきりがないほどです。
それでも、その基本的なフォルムは、1949年にトゥーリオ・カンパニョーロが開発した平行四辺形のデザインからほとんど変わっていません。
しかし、シマノが特許を申請し、このデザインを一新しようとしていることが明らかになりました。
この特許出願の中で、シマノは次のように述べています。
自転車が不整地を走行する際、リアディレイラーのチェーンガイドが岩や地面にぶつかる可能性がある。
そのため、リアディレイラーのチェーンガイドと路面との距離を長くすることが望ましい。
簡単に言えば、シマノが解決しようとしている第一の問題は、ディレイラーと地面とのクリアランスの問題です。
ロードバイクがこのような「不整地」に直面することは稀なので、当然、マウンテンバイクのイノベーションを示唆しています。
特許文書中に登場する完成車の図面はこの仮定を肯定するものですが、もしこの技術が製品化され人気を博すならば、グラベルにも浸透することを期待するのは可能でしょう。
シマノはこう続けます。
また、本発明の目的は、広いギアレンジを有するリアスプロケットに対応可能なリアディレイラーを提供することである。
私たちの解釈では、シマノは、広いカセットレンジをよりよく扱えるディレイラーを作ろうとしており、おそらく、これまで以上に大きくすることを視野に入れているのでしょう。
現在のマウンテンバイクやグラベルバイクのカセットは、最大と最小のスプロケット間で40歯を超えるレンジで提供されています。
1本の歯が1本のチェーンに相当するとすると、50歯のスプロケットに必要なチェーンの長さは、ライダーが最小のスプロケットに交換する際に多くのたるみを残すことになります。
そのため、新デザインでは平行四辺形の機能を維持しつつ、アッパープーリーから下方に伸びるケージの代わりに、ピボットポイントまで前方に伸び、2つのプーリーホイール(合計3つ)を収納する第2のケージを設けています。
この2つ目のケージは、パラレログラムの位置、つまりライダーが乗っているギアに応じて回転し、スラック(弛み)を補います。
2 つ目のケージがどのように回転するかは、まだ検討中のようです。
シマノは、平行四辺形の位置が変わると、カムシステムを使ってセカンドケージを所定の位置に引き寄せるケーブルまたはワイヤーベースのシステムを採用することを検討しているようである。
シマノは、これがどのように機能するかについて、わずかに異なる最終結果を用いた複数の図を提供している。
先日ご紹介したSramの3つの特許とは異なり、このディレイラーはアイデアから実現までどの程度進んでいるのか、また、製品化されるのかどうかは分かりません。
ただ、自転車の変速方法を見直すという発想は、ブランドとして初めてではないことは確かです。
例えば、ハブギアは、シマノのAlfineやNexusハブなど、特定のサイクリング分野、すなわち通勤・通学ではすでに一般的なものである。
セラミックスピードは──主なビジネスがビッグプーリーの販売であることから、第3のプーリーホイールのアイデアには満足しているだろうが──ドライブシャフトを使った変速システム「Driven」という子会社を持ち、ここ数年、グループセットの改革に挑んでいる。
2019年、シマノは再び、すべての変速をボトムブラケットに配置するギアボックスの特許を申請した。
他のブランドも手を打っており、ベルギーブランドのクラシファイドは近年、従来のグループセットと組み合わせることができる2速のインターナルハブで成功を収め、フロントディレイラーの必要性を事実上排除している。
訳者所感:エンデューロ、ダウンヒル用MTBの「アレ」みたいな?
どんな進化かワクワクして開いたら激キショ形状になっていて驚きました。
ただ、機構としてどう動くかはなんとなくイメージがつきます。
10t‐50tの間のチェーン長のロス、たるみを無くすために第三のプーリーが八面六臂の大立ち回りを繰り広げるのは見れば分かります。
それを考えるとなんかエンデューロとかダウンヒル用のMTBについてる「アレ」みたいだなって思います。
※正式名称はアイドラプーリーでした笑
コイツはリアサスの沈み込みによってチェーンステーの長さが変わり、それによってサスの動きが妨げられたり、クランクが逆回転したりするのを防ぐ目的でつけられてるので、意図するところは違っても、働きは似たようなもんなんじゃないかと睨んでいます。
余分なチェーンによる不必要な動きを抑制する(こうまとめてみると結構まともに聞こえる)ので、不整地における働きは上々だと考えられます。
ただ、オンロードでこんなんいるんか? って感じがしなくもないので流行るか、流行らないかは未知数です。