究極のリアルロボットアニメ「ガサラキ~餓沙羅鬼~」つまらないわけないだろ!ふざけんな!

どうも、せんちゃんです。

本日はまたマイナーロボットアニメについて……各所で「つまらない」「地味」とか言われてしまっている可哀想なアニメ「ガサラキ」のご紹介です。

高校の頃からかれこれ4回は4話まで見てやめる、を繰り返してきましたが、今回5度目の正直で見事完遂しました。

概要

1998年(小生の生まれた年ですな)にテレビ東京系で放送された作品です。

非常に難解且つロボットの活躍が少ないガッカリ仕様にも関わらず日曜日の朝9時というガキンチョゴールデンタイムに放送されていたというのを聞くと、末恐ろしさを感じざるを得ません。

監督は「ボトムズ」「ダグラム」でおなじみの小型機動兵器モノの名手「高橋良輔」さん、助監督に「コードギアス」の「谷口悟朗」さん、メカニックデザインには「パトレイバー」や「ポケ戦」の「出渕裕」さんとロボットアニメマニアにはたまらない布陣です。

能、平安、純和風テイストに伝奇ホラー的な要素を絡めた怪作です。

ちょっと時代が早すぎた感もある?

あらすじ

日本を裏から牛耳る巨大企業「豪和インダストリー」その四男である「豪和ユウシロウ」は先祖より伝わる石舞台で能「餓沙羅の舞」を舞う。舞が進み、ユウシロウ自身がトランス状態へと至った時、一人の少女と出会う。

呼び戻さないで! 恐怖を!! 」必死の叫びにユウシロウは舞を中断する。

彼女は一体誰だったのか、そんな疑問の中、ユウシロウはTA(タクティカルアーマー、今作における機動兵器の総称)実験中隊の一員としてべギルスタンへと派遣される。

突如勃発した戦闘、敵はTA、そして再びユウシロウは少女と出会う。名は「ミハル」といった。

この邂逅が幾千年にも及ぶ輪廻と因果へと至る始まりだった──

とりあえず評価、採点は87点!

やられました。素晴らしい作品です。

正直単純にドンパチするタイプのロボットアニメとしては赤点に極めて近いのですが、これを総体として捉えたときの完成度は非常に高いです。

全然活躍しないTA、通常兵器にいいようにされる回もありますが、それでもユウシロウが何とかしてくれるので安心。戦闘機相手に大立ち回りだって出来ちゃいます。そんなこんなで話が進行。

気が付けば中盤からはユウシロウたち「嵬」VS敵組織「シンボル」の物語と西田君と愉快なクーデター仲間たちの物語がパラレルに進行します。

当初「エヴァ」的な要素として挿入されてきた「謎会議」「謎用語」のシーンがメイン軸に移行します。エヴァに例えればネルフ上層部とゼーレの人類補完計画の計画の場面がシーンの半分以上を占めるような感じです。

でも困ったことに、面白いんだな、コレが

政治劇としては一級品、90年代後半のバブル崩壊後の肥大化した虚像としての日本に対する警句は現代にも通用します。

特に移民関係のゴタゴタを描いた「アジアン静脈瘤」編は一見の価値あり、現在のインバウンド特需(コロナで飛びましたが)だとか「移民受け入れの加速」の果てを予見しているようでもあります。

さらに終盤、クーデターの最中、アメリカを相手取っての対外ホットマネー全投入によるアメリカ経済爆縮消滅プランなど、当時なら絶大な効果を及ぼしたであろう計画が出てきての駆け引きなど、ある程度知識がないと理解が難しい部分ではありますが、分かってれば楽しめます。

最後が謎にオカルト要素ぶち込みで終わるのが遺憾ではありますが、ここまで色々やってきた一清兄さんのバイタリティーの出どころのちみっちさもあってそこは楽しめる部分です。

よって総合評価は87点、今まで4話切りを繰り返してきたのは自身がコレを鑑賞するに値する「眼」を涵養しきれていなかったことが原因でした。

深く恥じ入る次第です。

必見のむせないop

https://www.youtube.com/watch?v=QOds9TaJ4i0&t=51s

究極のリアルロボットアニメたる所以

この世に「リアルロボットアニメ」はたくさんありますが、最もリアルなのはこの作品です。狂ったようにロボットアニメを観ている小生が言うんだから嘘じゃないです。

これを観てしまうと巷で「戦術的」とか「リアル」だとか称されているロボットアニメとか陳腐なもんです。「アルドノア・ゼロ」とかがそういう評価を受けていますが「あほくさ」って感じです。「ARMS」読んで「粉塵爆発」覚えた程度の児戯に等しい演出です。

主役メカTA(タクティカルアーマー)の設定と劇中での活躍

自衛隊では「戦術甲冑」とも称される人型機動兵器がコレ、全高は5mほど。

開けた平面の戦闘では火力、装甲、速力で戦車に勝てず、唯一運動性能で戦車の砲塔の旋回速度を上回って翻弄することが出来る程度、アウトレンジから屠られたらアカン性能。

当然飛べないから戦闘機とも戦えません、離陸する前に壊すか、超絶技巧で無理やり落とすか、「インパクト(迫真)」で何とかするしかありません。

市街地や夜戦の奇襲など、限定的な場面でしか真価を発揮できません。

陸でも空でも海でも戦えるガンダムなんかとはわけが違います。

だからこそ「戦術」が必要になってくる、演習のシーンが分かりやすいですが、リフティングウインチで壁を登り、ビルの屋上から強襲、ビルの隙間から狙撃で戦車を破壊、と八面六臂の大活躍です。

暴動を抑えるために出撃してもゲバ棒&火炎瓶もなんのそのです。

ちなみに肉弾戦も出来ません、パンチしたら腕が壊れます。

もやしみたいなバルキリーでさえ徒手空拳で戦えるのに……

コックピットが狭いわ揺れるわ落ち着かないわでパニック障害を引き起こすパイロットがいるほど。

おそらくコードギアスのKMF(ナイトメアフレーム)よりコックピットは狭い。

ゆったりくつろげるモビルスーツのコックピットが羨ましい!TAのコックピットは狭すぎてどこかのキラ君みたいに引きこもれません!

そのためパイロットスーツには「インジェクション(まんまやな)」と呼ばれる特殊な薬液注入機構が搭載されており、パイロットは液体の量を増やして減らしてしなきゃいけないのでオペレーターはモニタリングが大変。

でも局地的、限定的な状況下では滅茶苦茶強い、そこに痺れる憧れる。

ガチもんの戦術兵器としての姿が描かれています。これに近い演出がなされているリアルロボットは「高機動幻想ガンパレード・マーチ」の「士魂号」ぐらいのもんかと。

珠玉のリアルロボットだと言えます。ただ量産型の兵器だけを指して「リアルロボット」とか言うのはやめちくり~ってな感じ。

ROBOT魂もいい出来、正直欲しい

滅茶苦茶出来が良くてカッコいい、付属品も充実、リフティングウインチを張り付けて玄関に飾っておきたくなります。

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やっぱり「エヴァ」風味

これが真の「エヴァの呪縛」だと思うんですが、90年代後半~00年代のロボットアニメはどれも「エヴァ感」が拭えません。

どーにもこーにも製作委員会だとかスポンサーの意向だとかで社会現象にもなった「エヴァ的なもの」を求める傾向が強かったせいか、どこのロボットアニメもエヴァ風な要素があります。

本作も例外ではありません。

先述の通り、謎会議や謎電話、伏線チックで実は関係ないヤツとかのオンパレード、のように見せかけて実は重要。これが「ガサラキ」のミソです。

はいはいエヴァ風エヴァ風、って片付けてると、後々コレかい! みたいにツッコミ入れることになります。

ストーリーライン

政治劇のシーンもそうですが、本編で用語だけ出てきて、設定資料集だけで補足されていることの多さ、そして色々良い感じにゴタゴタしてきてワクワクし始めたあたりで唐突に謎空間にねじ込まれて「おめでとう」よろしく視聴者に大量の疑問符を残して逃げ切るのも似てます。

キャラクターデザイン

これどうしたん? ってくらい「貞本義行」さんの絵に似ています。

キャラデザは全くの別人のはずなんですが……

*一説によると、貞本さんのキャラデザがエヴァで爆発的なヒットを飛ばした後、力のあるアニメーターにジェネリック貞本キャラさせていた説もあります。本作の村瀬修功さんもそうですが、平井久司さんなんかも名前が挙がっています。

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特に主人公のユウシロウなんかもみあげが完全に「綾波レイ」だし、なんならヒロインもそうです。あと、キャラクターとして二人とも全然喋んない、ロボットアニメ主人公とヒロインの絡み方じゃないです。

終始「……」「……」みたいな、そこまで「綾波系」じゃなくていいから! と怒りたくなりますが、そんな風に寡黙な二人の間で交わされるあるかなきかの言葉には重みがあります。

少ない言葉に情感をたっぷり込める、平安の貴人達の交感のようでとっても雅。

個人的神回

北海道で行われた新型機17式改「震電」の実証実験の回である11-12話が個人的な神回です。

ここまでも兵器としての異常性を問われてきたTAの不気味さが顕在化するのがこの回。

暴走したTAと人工的に「嵬」とするために調整を加えられたパイロット、実験中隊のメンバーのTAを破壊し、頭部装甲を引きちぎっては勝鬨の叫びをこだまさせる。

一種和風ホラー的な要素が垣間見える瞬間であり、TAという兵器に対する疑念を確信に変えるターニングポイントとなります。しかし、それでもTAを使わざるを得ない、という点もまた作品に深みを与えてくれます。

真の主人公 西田啓

極右の国学者の西田おじさん、腐敗していく日本の様子を見たくないからと自らの両眼を日本刀で切り裂いた憂国の士です。

コイツが出てくるとユウシロウもミハルも後景に霞みます。もう西田でいいじゃん(西田でいいじゃん)ってなっちゃいます。

憂国の士、西田語録

皆がひたすら欲望に走った二十世紀末、結局人は何を得たのでしょうか。
見てください、今日の日本人を。豊漠とした豊かさに安住し、危機を捉える感覚すら失ってしまった。
欲望に駆られた移民の盲流を生み出す豊かさの夢が、実は単なる幻想に過ぎないことを。
多くの人は気づいているのに、敢えて自らの問題として捉えようとしない。

焼身を研ぎ直したもので身幅の割に重ねが薄くなっていますが、
私にはもうその繊細な刀紋を見る事は出来ません。
ですが、その怜悧な気を感じる事は出来ます。これこそが真の日本人の姿ではないでしょうか。
透明な真理の中に生き、郷土を愛し、その美しい自然を慈しむ。自らに厳しくある事を尊び、
利己を潔しとしない。そうした理念が息づいていた事を、
何よりも無言のこの刀が語ってくれていると、私は思うのです。

見てください、精粋のように透明な刀身。
しかしこれは、永い年月の間に数え切れないほどの戦火を潜り抜け、
その度に鍛えられ上げられた末に至った究極の姿。この帳面さは日本人が本来持っていた心。
それゆえこれは既に武器ではなく己が心。己が心を他人に向ける者があるでしょうか。
もし向けられるとしたら、それは己自身。

確かに、私の個人的な目的はもっと別のところにあります。
それは、この国を貧しくすること。
この二百年間、人はただひたすら発展の幻想に踊らされてきました。
しかし、宴は終わったのです。今我々が為さねばならぬのは、
人が歴史を刻み始めて初めて、目の前の坂を胸を張って堂々と下ること。

何はともあれ、村井中尉が可愛い

とまぁこんな感じで最高にマッチョなアニメですが、清涼剤なのがオペレーターの村井中尉の存在、声が聞こえるだけで可愛い。

終盤ではクーデターに参加する自分なりの意義を持って臨むあたりも高評価。

これでキミも「ガサラキおじさん」だ!!

硬派厨の誹りを受けても、気にしない、それが「ガサラキおじさん」なのです。

ただ、そう呼ばれても構わない、自称することだって厭わない、そう強く思っていい、凡百のロボットアニメと一線を画す出来です。

「観たことが無い」というのは勿体ない。

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