ハイエンドカーボンコンポーネントで有名なENVEからカスタムメイドのロードバイクが登場⁉ ユタでのハンドメイド!

ハイエンドカーボンコンポーネントで有名なENVEが、ついにロードバイクが登場したようなので少し記事にしていきたいと思います。

参照:https://www.velonews.com/gear/road-gear/enve-launches-custom-road-bikes-made-in-utah/

ENVEからついにロードバイクが⁉

ホイールとコンポーネントで知られるカーボン製品のオーソリティであるENVEブランドが、ついにカスタムロードバイクを製造し始めました。

ホイールが製造されているのと同じユタ州オグデンの工場でハンドメ

イドされたEnveロードバイクは、Enveのパーツをフルアッセンブルしています。 25-31mmタイヤに最適化された、よりハイスピードに対応できる「Road」ジオメトリ、または30-35mmタイヤ用に最適化されたグラベルライド対応の「All Road」ビルドから選択できるようになってます。

Enveの担当チームにいるプロのフィッターがライダーの体格に合わせてジオメトリーを修正してくれます。

さらにフレーム、フォーク、インテグレーテッドバー/ステム、そしてシートマストをカラーそしてスタイルの豊富なメニューから選択して注文できる。

ついでに言うとバー/ステムの中央に小さなカスタムペイントを加えてくれます。

既に高い評判を得ているEnveブランドのハイエンドバイクとして、バイクは$ 9,950(1090550円)から$ 12,500(1370000)のプライスレンジになります。

どうして急にフレームを製造するようになったのか

Photo: Ian Matteson

ENVEがフレーム製造に着手したのにはいくつか理由があります。

まず1点目は「フレームメーカーがハウスブランドのホイールを製造し始めたこと」にある。

TREKにはBONTRAGERが、スペシャライズドにはROVALが、GIANTにはCADEXが、CerveloにはReserveが存在している。以前Cannondale、Cervelo、Orbea、そしてSantaCruzはENVEからホイールを買っていたのにも関わらず、だ。

これによってENVEは商売あがったりになってしまった。

2点目は「ノウハウの蓄積があること」だ。

ENVEはバイクのジオメトリーに関して、特注の自転車を専門とする小さなカスタムビルダーと協業しており、カーボンパイプ、フォーク、ハンドルバー、ステム、シートポスト、もちろんホイールも提供してきた。

このノウハウの蓄積を元に新型のロードバイクでカスタムビルダーの官能性の高いバイクとビッグブランドのハイテクマシンのクロスオーバーの中に商機を見出すことになったのだ。

ENVEは2007年に事業を開始して以来、オリジナルの完成車を製造したこと自体はありませんが、他のバイクブランドとの協業を行ってきた。

サンタクルーズの有名なV10ダウンヒルバイクに採用された世界初のカーボンスイングアームの設計、CerveloP5Xのフロントエンドとフォークの作成まで行ってきているから、経験は十分である。

ENVEの設計のゴール:バランスのとれたバイク

Photo: Ian Matteson

Enveの製品およびカスタマーサービス担当部門の副部長であるJackPantoneは、ENVEの自転車ブランドとの長年の協業の経験が、レースバイクの製造に足を踏み入れるきっかけとなっている。

10年間、私たちは他のブランドのフラッグシップバイクをより速くする方法を見つけようとして風洞実験室にいました。私たちは、ホイールが多種多様なフレームやフレーム形状とどのように相互作用するかを見てきました。私たちは常に、何が機能し、何が機能しないかをチェックしていました。私たちが研究したのは風洞実験の数値だけでなく、タイヤ、リム、フォークレッグ、ダウンチューブの間の隙間を見たときの安定性でもあります。これらすべてが、高速域でのバイクの安定性に影響を与えます

この経験を武器に、Enveはアワーグラス型のヘッドチューブ、ダウンチューブのカムテール形状、V字型のシートチューブ、そして流行である完全内装されたフロントエンドはクリスキングと共同開発したエアロセットヘッドセットによって達成されました。

このようにモダンロードバイクに必要なすべての要素をバイクに取り入れました。

これは驚きなのですが、Enveのロードバイクではエアロダイナミクスが優先事項でしたが、再優先事項では無かったのです

Enveは、SpecializedのTarmacおよびScottのFoilに対してベンチマークテストを実行しています。

参照:スペシャライズドのS-WORKSターマックSL7 2021年モデルの海外インプレ

   SCOTTのエアロロードFOILが2021年モデルで新型にモデルチェンジ!!やっぱり完全内装!

私たちは開発に際してエアロダイナミクスに関する部分に関しては非常に多くの作業を重ねています。最初はCFD作業で、次に風洞実験にプロトタイプを持ち込んでいます 。私たちは7〜8ワットの空気抵抗削減を経て、FOILのエアロダイナミクスに近づけるように再設計しました。しかし、実際のライドにおいて快適性、効率、安定性、重量を犠牲にすることなく、バイクを必要十分なだけエアロにする必要があるのです。

バイクのアイデアは、Enveが2016年にARホイールを発売したときに始まりました。これは、春のクラシックでの石畳をレースするために設計されたワイドリムのエアロホイールです。

当時の多くのレースバイクは、ワイドリムに適合していませんでした。

ENVEは、4年前に現在の施設に移転し、研究開発能力を拡大した後、2年前、正式にフレーム製造のプロジェクトを開始しました。

パントン氏によると、ENVEは今のローディーたちが空気力学だけに固執しているのではなく、優れた乗り心地とハンドリングをも求めていると信じて開発を行ってきたそうです。

顧客がエアロを期待していることはわかっていますが、それだけを求めるのはやや視野が狭いと言えるでしょう。エアロダイナミクスだけがこのバイクの目標ではありません。 我々が目標としてきたのは人々がバイクに求めているすべてのもののバランスをとることです。

形状に関してですが、顧客はフロントトライアングルとリアトライアングルと各所の長さと寸法を微調整できますが、ハンドリングに関する部分の数字は両方のモデルで固定されています。この部分を台無しにすることはありません。私たちは、リアルレーサーのように感じられる、汎用性の高いバイクを作りました。

バイクにアッセンブルされるENVEのコンポーネント

Photo: Ian Matteson

Enveは最近、Tufo製の25〜31mm幅のチューブレスロードタイヤの販売を開始しています。

バイクの発売に伴い、SelleItaliaからブランドのサドルがデビューしました。

現在、ドライブトレイン以外のすべてを自社製のコンポーネントに統一することで、EnveはSpecialized、Trek、Giantと同じ土俵に上がってきたのです(もちろん規模は大きく異なりますが)。

もちろん、ブランディングと製品の開発は異なるタスクです。

スペシャライズドは、膨大なエンジニアリングリソースを備えていますが、何も製造していません。

すべてが信頼できるベンダーから購入されます。

トレックはそのホイールとフレームのいくつかを社内で製造しています。

一方、Giantは、すべてのフレーム(およびその競合他社の多く)を台湾の自社工場で製造しています。

3つすべてのブランドにおいて、サドルとタイヤは外部委託しています—同様にEnveもそうしています。

規模の面で言えばEnveは現在、自社の顧客であるカスタムビルダーたちと競合しています。

しかし、カスタムブランドのバイクはクロモリやチタン、およびその混成で出来ています。

カスタムビルダーのアーロン・バーチェックは、ENVEのこの動きを脅威とは感じていないと述べています。 Alchemy、Argonaut、Crumton、Parleeは、カスタムカーボンバイクを提供するビルダーの一例です。

カスタムの詳細について:742のジオメトリーと2つの車種

Photo: Ian Matteson

カスタムフィットの可変性を上げるために、Enveは、47〜63cmのフレームを1cm刻みで用意し、それぞれに4つの異なるヘッドチューブを備えたカスタムフィットのデータベースを作成しました。

インテグレーテッドバー/ステムには、38〜46cmの5つの幅があり、ステムは5mm刻みで90〜130mmの長さを選択できます。

これらによって実に742パターンのカスタムジオメトリーを実現したのです。

その上で、選択可能な車種は2つあります。

25-30mmタイヤを使用することを前提に開発されたのが73度のヘッドチューブ角を持ったレースバイク、

30-35mmタイヤ用に使用することを前提に開発された72度のヘッドチューブ角を持ったオールロードバイクです。

トレイルとホイールベースは、これら2つの異なるライド体験に合わせて調整されています。

これらはすべて、ベースポイントとして最大742の異なるフィットモデルを追加します。

あなたのバイクのジオメトリー、リーチ、スタックがわかり、バイクの寸法またはバイクフィッターが到達したら、それを計算します。これにより、最良の4つのジオメトリーパターンが出てきます。その上で、私達はあなたにフィット感をアジャストするため、あなたの現在のバイクについてあなたが好きな部分と嫌いな部分すべてについて話しあうためにあなたに電話で相談をします。

私たちが提案したジオメトリーモデルの1つが合っている場合は、素晴らしいです。フレームを微調整して、たとえばヘッドチューブを少し高くしてスペーサーを必要としない場合は、問題ありません。

 バイクはモノコックとしてではなく、モジュール式で作られています。

これはバイクが重くなるうえに遅いプロセスですが、微調整が可能になります。塗装を含まない生のフレームは850g、小さな部品を取り付けて塗装するとフレームは約1,000gになります(56サイズのフレームの場合)

Photo: Ian Matteson

シートマストの採用により、シートポストをなくすことで重量を削減しています。そのほかにもパントン氏によると、乗り心地が向上します。

バイクは電子式ドライブトレイン専用に開発されております。

Shimano Di2バイクを購入する場合、バッテリーはシートポストに収納されています。

シートマストには約40mmの高さ調整幅があり、サドルやクリートの位置を変更する可能性に対応しています。

ハンドルバーの下側にはコンピューターマウントが組み込まれており、マウント内にShimanoDi2ジャンクションボックス/充電ポートが隠されています。

オーダープロセス:ジオメトリーとカスタムペイント

オーダープロセスと新製品のデモンストレーションのために、ENVEは私にテストバイクを作ってくれました。

私はまずジオメトリーのオーダーから始めました。

私のバイクサイズは56cmで120mmのステムを使っています。

ロードバイクにバーとステムが統合され始める前は、このバイクカスタムは非常に簡単でした。

現在、このようなバイクには、56cmフレーム用の100mmのステムだと短すぎる場合が多く、58cmフレーム用の110〜120mmステムが長すぎる場合があります。

そのため、完全にフィットするインテグレーテッドコックピットのアイデアは魅力的でした。

私は自分のバイクである2013年モデルのSpecialized Tarmac SL4を測定し、すべてのスタックとリーチの数値を送信しました。

Tarmacには20mmのヘッドスペーサーが付属しており、120mmのステムとのフィット感は完璧です。

スペーサーとセットバックシートポストなしで、これと同じフィット感を得ることが可能でしょうか?

EnveのShelbyVanderSteenは13のフィットオプションを含むスプレッドシートでフォローアップしてくれました。

5つのレースフィット。 5つのオールロードフィット。そして、56、57、58cmのフレームサイズにさまざまな変更を加えた3つのカスタムフィット。

それぞれスタックとリーチ(およびサドルクランプの位置)は、私のTarmacのものと同じでした。

スペーサーはゼロで、シートポストに後退幅はありませんでした。

最終的にステムが115mmの57cmフレームに落ち着きました。

73.2度のヘッドアングルと57.6mmのトレイルで、紙面上では、私が愛するターマックと同じように乗りこなすことができるように見えました。

私は、3ダースほどの色から2つを選択し、Enveのカタログの4つのペイントテンプレートから選択したのですが、このカスタムペイントのプロセスに夢中になりました。

次に、VanderSteenから複数のレンダリングが送信され、ペイント、ホイール、パーツの選択が示されました。ステムアートについては、故郷のニューメキシコ州の旗のシンボルをお願いしました。

Photo: Ian Matteson

バイクはカスタムのEnve×Sciconのダブルネームの Aerocomfort 3.0 TSAトラベルケースに入れられ、ホイールが取り外されて専用のポーチに収納されていましたが、サドルとバー/ステムは取り付けられていました。

正直なところ、あれだけ丁寧に自分のバイクの測定と分析を行っても、ジオメトリーがが合わないのではないかと心配でした。

だからバイクが届いて私が最初にしたことは、ターマックと比較して測定することでした。

20mmのヘッドスペーサーやセットバックポストがないだけで、すべてがミリメートル単位で並んでいます。

初めてのライドの前にすべきことはホイールとペダルを取り付けることだけで、そのまま立ち上がってこのゴージャスなマシンに飛び乗るだけでした。

Photo: Ian Matteson

まとめ:ENVEの放つラグジュアリーでコンペティティブなカスタムカーボンバイク

様々な事情があることが窺えますが(インハウスブランドの成長は痛い……!)

これまでの経験を元にENVEが放つバイクですから、素晴らしくないわけがないです。

小規模なバイクビルダーのようなカスタムフィット×カーボンのオーソリティーのテクノロジーの組み合わせというニッチなところに商機を見出しているわけですが、結構プロ向けの供給にも向いているんじゃないかな、とも思います。

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