NO IMAGE

安部公房『人間そっくり』──正気と狂気の曖昧な境界線──

  • 2019年5月24日
  • 2021年1月24日
  • 216view
NO IMAGE

どうも、せんちゃんです。

就活を第一目標に掲げて行動しておりますが、なんだかんだダラケ癖が抜けずに困ってます。いっそ就活とロードの二軸経営でやれば生活習慣は整うのでしょうか、折角買ったGarmin VIVO SMART 4もかたなしです。

GARMIN(ガーミン) アクティブトラッカー 活動量計 50m防水 v・・vosmart4 Black Slate レギュラーサイズ【日本正規品】 最大7日間連続稼働

新品価格
¥14,985から
(2019/5/22 18:26時点)

愚痴は放っておいて、本の紹介です。

小生も大好き安部公房『人間そっくり』をご紹介します。

小生と安部公房、他にも色々読んではいますが、まとめられたのはこれだけ……申し訳ないっす……。

https://overwhelming-growth.com/abekoubou-boxman-html

人間そっくり (新潮文庫)

新品価格
¥497から
(2019/5/24 13:10時点)

あらすじ

火星ロケットの着陸が目前に迫り、ラジオ番組の脚本家の「ぼく」は大いに焦る。それもそのはずだ、彼が担当していた番組はこともあろうに「こんにちは火星人」というコメディだったからだ。このままでは「火星人」なんて存在しないことが明らかになってしまう!当然番組もお釈迦だ!

そんな最中、彼の作品のファンで「火星人」だという男が来て、それとほぼ同じタイミングで一本の電話がかかってくる、それはその男の妻と名乗る女性からの電話だった。「彼は精神病院を退院したばかりの狂人だ、突然狂暴になる恐れがあるので、私がいくまでの30分の間は刺激しないように話を聞いてやってほしい」

「ぼく」と妻は当然慌てる、やって来たのが狂人だなんて!

日常の中に突如現れた「火星人」との堂々巡りな対話の中、ついに「ぼく」の「人間」としての実存が揺らぎ始める……

感想

やはり安部公房、傑作にして怪作である。

この小説は読めば読むほど眩暈を感じ、ともすれば嘔吐の感覚すら催しかねないものであるが、それに輪をかけるのは登場人物と設定の妙であろう。全てがこの小説のテーマである「トポロジー(位相幾何学)」的に駆動し、それこそ「メビウスの輪」や「クラインの壺」のような二次元、三次元、平面とも立体とも分からぬ複雑な展開を見せる、そしてこの小説を読む我々はこのトポロジー的空間に眩暈を感じる。表も裏もない、内も外もない世界への限りない上昇、限りない降下、対称に、水平に、ただ運動し続ける一つの点としての我々の姿がそこにある。そしてこの眩暈の中には次のような一つの真理が隠されている。

我々人間は自身の感覚、定義、存在によって自分自身の「実存」ならびに「自我」を規定しているが、その基準自体を定めたのもまた自分自身であることに対して極めて無自覚であり、また意識しようとも思わない。この問題を安部公房は提示しているのだ。

本当に自分は自分なのか、自分は「人間そっくり」ななにかではないのか、我々は実は我々自身のことを一番知らないのである。自身の存在こそが「最も親しい他人」である。そしてこの正気と狂気の境界は我々が思っているよりもずっと身近なものであるのかもしれないのだ。自身の実存に対する盲信か、実存に対する疑念か、一体そのどちらが正気でどちらが狂気なのか誰もがこの問題に答えあぐねている。

作中で「ぼく」は「火星人」の中々に捻りの効いたロジックに平衡感覚を失い、正気と狂気の間に一本だけ渡された綱から転落し、寓話とも現実とも取れない狂気への加速度的転落を見せた、我々もまた意識に上らない細い綱の上を事も無げに歩いているに過ぎないことを知らないだけであることを嫌というほど考えさせられるのだ。

果たして、いまこの文章を書いている私の実存すら怪しい、「人間そっくり」な何かならまだましだ。もしかしたら私は「試験管の中の脳みそ」である私が盲信する実存としての存在でしかないのかもしれない。

この不安は人間にとって生得的なものであり、電子ネットワークが極端に発達した結果、個人が保持できる「自分」の数が増え、アイデンティティー感覚が希薄になってきた現代でこそ、顕著に現れてきている。

関係ないが、最近はまっている「つぶグミ」について「おいしくなりました!」が嘘じゃなかった珍しい例だ。味の編成が変わり、且つそれぞれの果汁が増えたことによって一回食べるとしばらくは味を楽しむことが出来るようになっている、美味しい。おススメです。

春日井製菓 つぶグミ 85g×6袋

新品価格
¥504から
(2019/5/24 13:18時点)

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!