FELT AR Disc 2020年モデルの海外インプレ~全方位にわたる先代からの進化~

どうも、せんちゃんです。

昨日はfeltの新しいARの発表がありまして、記事にした訳ですが、今日は続々と上がってきたインプレを総まとめしたいと思います。

bikeradarのインプレ

https://www.bikeradar.com/reviews/bikes/road-bikes/felt-ar-advanced-ultegra-di2-2020-review/

いいところ:レーサーにとって「速いバイク」ハンドリングがいい、路面のフィーリングも悪くない

悪いところ:遠く、低くのポジションが万人受けするものではない

ARディスク2020

先代との比較

僕はこのバイクをサイズL(56サイズ)で試乗した。

そして、試乗の間、このバイクは常にレースバイクであると感じられた。

2014年に出てきた先代のARは直進安定性が素晴らしいものだったが、代わりにコーナリングでは輝いているとは言い難いものがあった。

コーナリングの際にスピードを保てないということは、次の直線に差し掛かったときにはもがかないといけないと言うことだし、スプリントについても同様だった。しかし、今回、そういった懸念は要らなくなっていた

新しいARはペダリングに対して忠実であり、実に反応性が高い。

コーナリングに関しても確かだった。

僕の試したのは56サイズでスタックが567mm,リーチが392mmで、全く恥じる様子もなくレーシーだ、ホイールベースは988mmという短さだ!

バイクのアッセンブル

このバイクはSHIMANOのアルテグラDi2で組んであってフロント52-36t,リアが11-30tだ。この組み合わせはこのバイクにとって完璧と言えるだろう。

52tのフロントがあれば直線をTTよろしくハイスピードで駆け抜けるのにもいいし、アップダウンのある道にも向いている。

そして、最も軽いギアレシオの36-30tがあればほとんどのオールラウンドレースバイクと肩を並べて走ることが出来る。

ホイール・タイヤについて

そして、アッセンブルされたレイノルズAR58についてだが、その名の通りリムハイトは58mm、ひょろ長くて鈍い刃のように整形されたリムは内側で21mmの幅がある。

レイノルズ社製のハブは10°ごとにラチェットが噛み合うようになっていて、SAPIMのスプリントで組んである。このホイールが路面の悪いところでも安定性を発揮するのには驚かされた。

そして前後で1730gという重量はこのハイトのホイールでは重すぎるということもなく適正な値だろう。確かに、もっと軽量なハブを用いたAR-Xシリーズがレイノルズには存在するが、安くても同じチューブレスレディのリムが使われているのだから特に文句は言うまい。

コンチネンタルの素晴らしいGP5000がセットされていたが25cで実測28mmほどの幅になっていた。

バイクのインプレ

このバイクにはやはりレースバイクらしい硬さがある。

エアロロードからいきなりサンデーホビーライダー向けのバイクになったりはしない。

しかし、厳しく感じるような硬さではない。

シートポストのしなり具合と振動吸収性が後ろ半分の快適性を保っていて、プロロゴのショートサドルも快適だ。

前半分を見てみると、デボックス(feltのコンポーネントブランド)のハンドルは持つところがたくさんあるし、翼断面になった部分は幅広く、肘をそこに下ろして落ち着いたエアロポジションを取って巡航スピードを保つのにも向いている。

コーナリングについてだが、決してキャノンデールの新しいスーパーシックスエヴォやピナレロのドグマF12のようにスイスイと軽快なフィーリングはない。

しかし、確かなコーナリング性能があり、ダウンヒルにおいても同様だ。ジオメトリーと安定性のあるホイール、それからタイヤもこれに寄与しているのかもしれない。

現時点での評価

新しいARは皆が予想していた通り、全方位に渡って先代より進化している。

10数年に及ぶこのモデルの歴史の中で積み上げられてきたものの上に立っていながらもすべての側面において性能が向上している。

最近のエアロロードとは異なり、全部が全部複雑な内装になっている訳ではなく、ユーザーフレンドリーでもある。

このバイクは他のバイクよりも優れているところが沢山あるが、同時に劣っているところも沢山ある。

なにせ「エアロロード」というエリアは激戦区だ、たくさんの素晴らしい最新鋭のバイクが並んでいる、ヴェンジ、オルカエアロ、システムシックス、S5、エアロオールラウンダーまで含めるとイザルコマックス、ターマック、スーパーシックスエヴォにF12、オルカOMXまである。

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feltはこの2020年モデルのARを足掛かりにしていくチャンスを掴んだとは言えるが、それが簡単な道であるとは言えない。

VeloNewsのインプレ

いいところ:クイックで素早いハンドリング、快適性の高さ

悪いところ:普段使いにはホイールのリムハイトが高すぎる

Velonewsの総評

第三者機関の風洞実験の結果として先代のモデルよりも速いことは確かである。

エアロ効果よりももっと重要なこととして、このバイクが乗りやすく、快適で毎日のトレーニングに向いている、ということである。

我々は毎日乗ることの出来るエアロでオールラウンドなバイクとしてこのバイクを好ましいものだと思う。

ARディスク2020

ファーストライド・インプレッション

私は南カリフォルニアでこのバイクと2日間過ごした。

そこではFELTのバイクを使っているチームと一緒だった。

最初のライドは65㎞程、ラリーサイクリングの男子チームのメンバーの数人と一緒にスタートしたが、彼らはすぐに(そして礼儀正しく)チームのトレーニングキャンプへと戻っていった。

我々は海岸に向けて走っており、我々が宿泊しているオハイに向かう前に内陸でヒルクライムをこなした。獲得標高は365mほど。

2日目はコロラドに帰る飛行機の便の前に機能よりももっと獲得標高のあるコースに向かった。距離は40㎞程。

どちらのライドにおいても、我々は結構いいペースで走った。

それにも関わらず、ペダリングに関しても、ハンドリングに関しても、反応性の高さが目立った。

快適なのもそうだが、登りでの加速性能に私は驚かされた。

両日とも横をトラックが通った時、いきなり飛び上がることになったが、おそらくアッセンブルされた60㎜近いディープリムホイールのせいだろう。

ちゃんとしたシチュエーションであればセーリング効果を得るには十分なリムハイトではあるのだが……我々はこのバイク(とホイール)をもっと風が強い場所で試してみる必要があるかもしれない。

あるいは、もっとリムハイトの低いホイールで試してみる必要がある。

フェルトARディスクアドバンスドの暫定的な評価

私はこのことについては確信を持っているのだが、これから私たちはこういったバイクを指して「エアロロード」と呼ぶことは無くなるだろう、単純に「ロードバイク」と呼ぶようになるはずである。

フェルト社は空力特性を誇らしげに宣伝しているが、このバイクの快適性にも着目している。ハンドリングの良さに加えて、適正な重量、そして美しいデザインもだ。

しかし、もっと時間をかけて検討すべき点としては、ホイールのリムハイトがあるが、それはそれとして、このバイクはなんでもそつなくこなせるオールラウンドバイクであると言えるだろう。

ラリーサイクリングチームのクロエ・ホスキングがステージ優勝をあげたように、このバイクは快適でありながらも、本来持っているレーシング性能を損なってはいない。

小生の総評:見た目以上にオールラウンダー

ここまでインプレを読んできての感想がこれだ。

見た目はゴリゴリにエアロな上、重量も8㎏前後(セカンドグレードのARアドバンスドでの実測重量)ということでエアロながらも重い。

一昔前のトラディショナルなエアロロードの姿を想像したが、どうやら違ったらしい。

ハンドリングの安定性、反応性の高さに加えて、登坂性能もいい具合、オールラウンダーと呼ぶに相応しい性能を持っているらしい。

流石開発に6年かけた「虎の子」である。

アッセンブルも悪くなさそうだが、レイノルズのホイールは少し気になるところである。エアロなチューブレスレディホイールでもっと軽いものはたくさんある(同郷ブランんどのよしみだろうか、ならコンポもいっそSRAMに……)

そういったホイール、リムハイトの選択と合わせて、フレームの素性の良さを生かすことが出来る組み合わせはまだまだありそうだ。

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