スペシャライズドのS-WORKSターマックSL7 2021年モデルの海外インプレ──現時点で最高のバランス──

どうも、せんちゃんです。

ついにロードバイク2021年モデルの目玉がきました。

皆さんが待ちに待ったスペシャライズド、ターマックSL7です。

普段なら概要も記事にしますが、どうせシクロワイアードさんあたりが細かい解説は入れてくれるので、今回はインプレからです!

Bikeradarのインプレ

Felix Smith / Immediate Media

元記事:https://www.bikeradar.com/reviews/bikes/road-bikes/specialized-s-works-tarmac-sl7-review/

とりあえずの評価

新しいターマックは間違いなく素晴らしいレースバイクで、めちゃくちゃ強いヤツにとっては鬼に金棒、一方で、多くのライダーには扱いきれないだろう。

いいところ:レース向き、乗っていてエキサイティング、素晴らしいフィーリングのフレーム、高級感のある仕上げ、圧倒的な性能

悪いところ:萎えるぐらい高い価格、ホイールがチューブレス対応じゃない、一部の人にとっては乗り心地が悪いかもしれない。

インプレに入る前に

新しいターマックSL7は先代のターマックSL6とVENGEを置き換えるような形で登場した(VENGEは継続、前評判では廃盤でしたが)

新型はこれら二つの特徴を受け継いでいる──エアロダイナミクスに優れていて、且つ軽量だ。このバイクは恐ろしく高い、恐ろしすぎると言ってもいいほどに高い。だが、同様に恐ろしすぎるほどのスピードマシンであることも確かだ。超高剛性のフレームはそのスピードでライダーを満足させるだろう。しかし、一方で、レースに特化し過ぎた性能のため、さほどレースに興味のない一般ローディー兄貴たち向きではない。

インプレ:壊滅的なまでに伝達効率が高く、ターゲットを絞りすぎている印象

僕はそれぞれのロードバイクに「人格」あるいは「個性」があるとは思わない、そんな物心性のようなことは考えたくもない。ましてや、自分が入力したパワー以上の性能を発揮する、なんてもってのほかだ。

だが、疑いようのない事実として、このバイクには「人格」が存在する。

そして乗り手に対して常に「もっと速く走れ、もっと自分自身を追いこめ」と語りかけてくるのだ。

この感覚はなにも一つの統一されたバイクのキャラクターから来るわけではない。様々な要素が絡み合ってこういったフィーリングを生み出している。
超高剛性のフレーム、美しくまとまった完全内装のルックス、迫力のあるエアロホイール……
こうしたものすべてが混ざりあって、ライドの度に私達を満足させてくれるのだ。そして、このバイクが傑出したものである、ということをその圧倒的なスピードと性能(計測し、証明する手段の有無に関わらず、である)で分からせてくるのである。

先代のターマックは伝達効率が極めて高く、特筆すべきペダリングの安定性があった。新型もその路線を踏襲している。

指先一つで操作可能なディスクブレーキのパワーに加え、フロント剛性も高く、ライディングエクスペリエンスは極めて高いその精度と高い効率性をあわせて非常に満足できるものだ。

ヒルクライムとスプリントがものすごく楽しい、しかし、スプリントではエアロフライⅡハンドルの硬いエッジの部分が前腕に当たって少しだけ困った。これは恐らく僕のスプリントの癖とドロップの握りかたによるものだと思う。翼断面形状のバートップは普通の丸型ハンドルよりも後ろに出っ張っていることもあって、本当のことを言うと、ヒルクライムでのダンシングでは膝が当たらないように気を使った。

これは個人的な好みでしかないが、僕はエアロダイナミクスそっちのけで普通の丸型ハンドルが好きだ。しっかりと指を巻き込めないとイヤなんだ。バートップの幅が太いと、なんとも言えない……
でも、多くのライダーはこのエアロでエルゴノミクスに優れた形状をすぐに気に入ると思う。

このバイクにまずいところがあるとすれば、それは冷酷なまでにレーシー過ぎる、というところだろう。要するに、快適性が足りないのだ。
このバイクはかなり硬い、そして路面の衝撃をかなりそのままライダーに伝えてくる。巡航になると優しくなる、なんてことはない、どの速度域でも容赦なく硬い。

もし君がヤル気満々で、今日の俺は強い! と思えているのならば、このバイクはまさにピッタリの相棒だ。ちょっとやそっとの衝撃なんか「芳醇なロードフィーリングだな(キリッ)」で片付けられるだろう。
でも、もし君がロングライドの最後で満身創痍のヘロヘロだった時には、このバイクには「もっと優しくしてほしい」と思うことだろう。

もちろん、このバイクが快適性のことを無視しているわけではない、ワイドなタイヤが衝撃を和らげてくれる。しかし、このバイクの名前「ターマック=舗装路」が指し示しているように、綺麗な舗装路の場合は、という条件付きだ。分かっているだろうけど、このバイクは同社のルーベのように荒れた道は想定していない。

このバイクの全体的なフィーリングにはロヴァールの新型ホイールが寄与している部分も大きい。

フリーハブについて言えば、DTスイスの新型ラチェットのお陰でスピードに乗だた状態だと、森の中でセミの大合唱を聞いているような気分になる。
ホイール全体としてはタンカラーのタイヤがよく似合っていて気に入った。

バイクに乗っているときは、このホイールのワイドさがよく分かると思う。

まるでゴムではなく、カーボンで路面の上を走っているように感じられるだろう。それだけワイドリムの主張が強い。

26mmというターボコットンタイヤの幅にも理由があると思うが(僕の体重は53kgで60psiかそこらで調整した)タイヤ自体はかなり安定していたと思う。

新型ホイールは先代のCLX50より25%安定性が増したと言われているが、それも納得がいく。

僕の体重のこともあって、真の強風といえる環境ではテストできていないけど、大体の環境において、先代よりも安定していたと言っていいだろう。

結論、素晴らしいバイクだが、一般ローディー兄貴たちにS-WORKSは本当に必要だと言えるだろうか?

多くの人にとって、このバイクは本当に印象的で素晴らしいバイクのように思えるだろう、特に強いローディーはそう感じると思う。

エアロダイナミクスは大歓迎だし、スピードが出ることには嫌な部分を感じない、しかし、このバイクが毎日のライドには向いていないと感じる。

ターマックSL6に満足しているライダーにとって、このバイクはまさに正当進化であり、大きな技術的な飛躍を感じると思う。

もし、あなたが既にVENGEに乗っていて、このバイクに乗り換えを考えるのであれば、確かにこのバイクは多少軽いが、ややエアロダイナミクスでは劣ることを忘れてはいけない。

めちゃくちゃ高いのでコスパのことを忘れがちだが、アッセンブルはハイレベルで十分にコストパフォーマンスはいいと言えるだろう。
しかし、S-works である必要があるかどうかは疑問だ。往々にしてスペシャライズドのセカンドグレードは素晴らしいバイクで、多くのライダーにとってはそっちの方が向いていると感じる。

確かに120g重くなってしまうのはそうだが、多くのライダーにとってもっと重要なのはダウンチューブに燦然と輝くS-WORKSの文字であることは理解しているけどね(苦笑)

正直なところ、僕だったらボトムグレードの機械式アルテグラにチューブレスのC38ホイールを搭載したのを選ぶけど……。

velonewsのインプレ

元記事:https://www.velonews.com/gear/road-gear/specialized-s-works-tarmac-sl7-review/

レビュー概要

★4.5/5

フレーム重量は56サイズでも800g、完成車で6.8kgの重量(51㎜/60㎜のエアロホイール、パワーメーター込み)

いいところ:ほぼ完ぺきなバイク、エアロダイナミクス、軽量性、調整のしやすさ、そして素晴らしいハンドリングを見事なまでに両立している。

悪いところ:ホイールがクリンチャーのみの対応、チューブレス待望派はガッカリ、ハンドルのエルゴノミクス形状と低すぎるシートチューブのボトルケージが万人受けしない。

警告:このレビューが「湧き上がって」きたものであることに留意して欲しい。新しいターマックは信じられないほどにいいバイク、悔しいけど高い値段を付けるだけのことはある。

実走インプレ

このバイクに乗って本当にびっくりしたのは、普通に乗っている分には素晴らしいオールラウンダーのように感じられるのにも関わらず、向かい風の中でドロップポジションを取ると、まるでTTバイクのように感じられる点だ。

新型はVENGEViasよりもエアロダイナミクスに優れていると主張していて(残念ながら風洞実験用の施設は用意できなかったが)各部の形状とライドフィールから本当にそうであると感じられたのもスゴいと思う。VENGEViasに比べるとまるまる1㎏は軽くなっているのにも関わらず、だ。

ROVAL RAPIDECLX、このホイールがスゴい

新型ターマックは間違いなく「速い」と感じられるバイクだが、ホイールが役割を果たしている部分は大きいと思う。この手のディープリムホイールにしては1400gと軽く、なおかつディープリムホイールに相応しく加速に優れている、スプリントもそうだし、九十九折のヒルクライムでもそうだ。

しかし一方で、エアロダイナミクスも燦然と輝いている。地元でダウンヒルに挑んでるとき、僕はまるでスクーターにでも乗っているのかと思うくらいだった。ワイドなリムのおかげでこの見た目に反して横風に足を取られることは無かった。

他のハイエンドホイールメーカーと比べたとき、チューブレスじゃなくてクリンチャーだったのには驚いた。僕はグラベルも走るので、正直チューブレス派だ。しかし、パンクした時に必ずシーラントがふさいでくれる、と言うわけじゃないことも知っているから、別に文句はない。クリンチャーオンリーでも許せるのは少数派だと思うけど……。

それからもう一つ言っておかなきゃ、ハブが気が狂いそうなほどうるさい。

S-WORKS Tarmac VS TREK Emonda SLR VS BMC Teammachine SLR

BMCは最初に100万円をオーバーするようなロードバイクを世に出してきたブランドだけど、近年では、大体どこのブランドも100万円オーバーのハイエンドロードは当たり前になってきた。

その分、アッセンブルはしっかりしている、価格に見合っただけの性能はあるようだ。

BMCも、TREKも似たようなアプローチをしており、真のオールラウンドバイク、としてエアロ性能を失わないようになっている。

ちょっとした欠点

ハンドル:手の小さい人にとってはハンドルが少し問題になるかもしれない。幅が広い分、いつもブラケットではなく、バートップを持って走るタイプのライダーは苦労しそうだ。

ボトルケージの位置:エアロ効果を最大化するためにシートチューブ側のボトルケージはかなり下げてあるが、人によってはボトルを取るときに苦労するかもしれない。いつもより深くかがまなければならないからね。

結論

そこそこ快適で運動性能は抜群、優れたエアロダイナミクスがありながらも馬鹿げた軽量性、ターマックは間違いなく乗っていて楽しいバイクだ。おおよそ欠点らしき欠点を見つけられない。

一方で、価格についてはどうだろうか、とても小躍りして喜べるような価格ではないだろう、しかし、それに見合った性能であることは間違いない。

まとめ:一般サイクリストにはややオーバースペックか?

本当に「スーパーバイク」といった趣ですが、一般サイクリストでは持て余してしまう可能性もあるということ、懐の深さについては微妙だから、いっそバイクに似合った超ウルトラスーパー剛脚マンになるしかない? 来年はツールで会おうぜ?

あとの問題は価格か……性能に見合った値段ではあるものの、些か高すぎるような気も……

新型ターマックキラーも揃いつつあります。

WilierのFilante:https://overwhelming-growth.com/post-2934

FACTORのOstro:https://overwhelming-growth.com/post-2630

BMC TeamMachine:https://overwhelming-growth.com/post-2076

新型ターマックを使いこなす身体はマイプロで作れ

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